■「会見史」に残るロングランだったが… 1月27日に行われたフジテレビの出直し会見は「会見史」に残るロングランになった。午後4時過ぎから始まり、翌日の午前2時まで延々10時間半に及んだ。 1月17日の港浩一社長の会見は、雑誌やフリーのジャーナリスト、ネットメディアを排除し、動画も撮らせなかったために厳しい批判を受けた。CMを提供しているスポンサーたちも次々に離れていく異常事態になってしまったため、港社長たちが再び会見を開いたのである。 これまでは、2019年7月22日に行われた吉本興業・岡本昭彦社長が所属タレントの闇営業問題や騒動について開いた会見の5時間半が最長だった。 2023年9月7日にジャニー喜多川の性加害問題について東山紀之新社長(当時)、藤島ジュリー景子社長らが開いた会見は4時間12分。2023年12月4日に日大アメフト部の大麻に関して林真理子理事長らが出席した会見が2時間45分だった。 今回は参加者を限定しなかったため、191媒体、437人が集まった(フジテレビ調べ)。 冒頭、今回の「騒動」の責任をとって港浩一社長と嘉納修治会長の辞任が発表された。 港社長、遠藤龍之介副会長、嘉納会長、金光修フジ・メディアHD社長、新社長に指名された清水賢治氏が壇上に上がったが、フジテレビの“天皇”といわれている日枝久取締役相談役の姿はなかった。 ■質問が集中した「5つのポイント」 ユニークだったのは被害女性のプライバシー保護ということで、実際の放送している時間ではなく、10分間のdelay=遅らせて放送したことである。質問者がX子さんの実名や、フジ編成幹部のA氏の実名を漏らしてしまった時、それを消す時間を確保したことだ。 実際に、一部の記者がX子さんの実名を口走ったことがあったようだが、テレビを見ていてわからなかった。 質問はおおよそこの5つに絞られた。 ———- ・X子さんと中居正広の間で起きたトラブルの真実 ・X子さんを一人で中居邸に行かせたのは、フジの社員である編成幹部のAなのか ・そうした“人権侵害のある事案(港社長の発言)”の一方の当事者である中居を、なぜフジは使い続けたのか ・フジの社風を形作った日枝相談役はなぜここへ出てこないのか ・第三者委員会はこの件をどう調査するのか ———- 挙手した記者の質問にはすべて答えるというフジ側の姿勢や覚悟はうかがえた。だが、予想通り、フジ側は「被害女性のプライバシー保護最優先」を楯にして、事件が起こった後、被害女性がフジの上司に相談した内容や中居とのトラブルの真相などの核心については、一切、ひな壇の人間たちが答えることはなかった。