24年前に、広島県福山市の住宅で女性が殺害された事件の裁判員裁判が5日開かれ、被告の男が事件当日の記憶について初めて語りました。 殺人などの罪に問われている福山市の無職、竹森幸三被告(70)。起訴状によりますと、竹森被告は2001年2月、福山市明王台の住宅で、女性の腹部を果物ナイフで突き刺すなどして殺害したとされています。 1月30日に開かれた初公判で竹森被告は、起訴事実について「記憶にないから分かりません」と、無罪を主張していました。 5日の裁判では、竹森被告に対する被告人質問が行われました。 ベージュのフリースを着て入廷した竹森被告は、証言台の前で迷うこと無く、質問に答えていました。 ■被告は法廷で何を語る? (弁護側の被告人質問) Q.公訴事実に対して「記憶に無い」と仰ってましたが、どういう意味ですか? 「(事件現場に)行ったことがないので分かりません」 Q.令和3年10月に逮捕されてから勾留が続いていますが、言いたいことはありますか? 「訳の分からないやった覚えのない事件に対して3年数か月監禁されていることが理解できない。早く出たいです」 検察側も、事件があった2001年ごろの状況などから当日の「記憶」について聞きます。 (検察側の被告人質問) Q.当時、仕事は何をしていましたか? 「植木屋。造園業です」 Q.当時、借金はありましたか? 「ありました」 Q.どのくらい? 「見当もつきません」 Q.事件当日、どこで何をしていましたか? 「釣りが好きなので、メバルを釣る『釣り場』の確認に行っていました」 今回の裁判では、現場で検出されたDNA型が竹森被告のものと言えるのかどうかが争点になっています。 検察側の証人として出廷したDNA型鑑定の専門家は1月31日の裁判で、「遺留品の血痕に竹森被告のDNA型が含まれている可能性が高い」と証言しています。 さらに被害者遺族の代理人弁護士も竹森被告に質問しました。 ■遺族に対する被告の思いは? (被害者代理人の被告人質問) Q.当時、事件が発生したことは知っていましたか? 「新聞で見ました」 Q.それを見てどう思いましたか? 「(事件に関して)なんにも考えていませんでした」 Q.この裁判で事件について色々聞いたと思いますが、思うことはありますか? 「どうして私がここにいるのか理解できません」 Q.傍聴席にいる遺族に何か言うことはありますか? 「ございません」