中国・習主席、韓国国会議長と会談 厚遇で「日米韓」けん制か

中国の習近平国家主席は7日、冬季アジア大会の開催地である黒竜江省ハルビン市で、韓国の禹元植(ウウォンシク)国会議長と会談し、安定した中韓関係の重要性を確認した。中国国営中央テレビが伝えた。 米トランプ政権が追加関税で中国への攻勢を強める中、習指導部にはバイデン前米政権下で強化された日米韓の同盟網を揺さぶる意図もありそうだ。 中国中央テレビによると、習氏は会談で「国際情勢の不確実性が増す中、中国と韓国は戦略的パートナーシップ関係を強化し、発展させるべきである」と表明。禹氏は「対中友好は、韓国の外交政策の核心の一つであり、変わることはない」と応じた。 また、聯合ニュースは、10月末から韓国・慶州で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため、習氏から「訪韓を前向きに検討している」という趣旨の発言があったと伝えた。 禹氏は7日夜、ハルビン市で冬季アジア大会の開会式に習氏と共に出席。それに先立ち催された歓迎式典で、禹氏は、ブルネイのボルキア国王やパキスタンのザルダリ大統領らと共に習氏と彭麗媛夫人から歓待されるなど、国家元首と比肩する厚遇を受けた。 韓国では尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が逮捕されるなど政治の混乱が続くが、中国は両国関係の不安定化は望んでいない。対米重視の尹政権との間で冷え込んだ関係を立て直す機会とする計算ものぞく。 禹氏は韓国の最大野党「共に民主党」出身で、戒厳令の解除要求決議案の可決に尽力してその存在感が高まっている。中国は韓国政界と幅広く接触を図り、中韓関係の主導権を握る思惑があるとみられる。【北京・河津啓介】

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