京都府警は、盗撮が多発している駅のエスカレーターで、盗撮を防ぐ特殊な鏡の設置を進めている。広い範囲を見渡せる加工を施しているため、被害者や周囲の人が不審な動きに気付きやすいといい、抑止効果を期待している。 昨年1年間に府内で検挙された盗撮事件は前年比20件増の344件(暫定値)。駅構内の被害が3割(114件)と最も多く、大半は階段やエスカレーターの段差を悪用していた。 府警によると、一昨年12月、京阪七条駅(京都市東山区)のエスカレーターで女子高校生のスカート内を盗撮しようとした容疑で逮捕された男が、調べに対し「後ろを向かれると盗撮しにくい」などと供述した。男の供述を受け、同駅のエスカレーター横に鏡を設置したところ、この場所での被害申告はなくなったという。 そこで府警は今月、盗撮の被害申告が多い京都、山科、北大路の各駅(いずれも京都市)や、学生が頻繁に利用する新田辺駅(京田辺市)など、JRや市営地下鉄、近鉄の府内10駅に特殊加工を施した鏡(縦48・5センチ、横32・5センチ)を設置した。カーブミラーのように広角に映る仕組みで、背後の人の動きが確認しやすい。防犯協会や医療法人社団「洛和会」(山科区)が府警に寄贈し、鉄道会社と連携して設置を進めた。 府警は、エスカレーターでは、前後が見えるように斜めに立つ▽スマホやイヤホンの利用を控える-といった対策を勧める。人身安全対策課は「鏡の効果を検証した上で、各事業者に自主的な設置を働きかけたい」としている。