1月、ハンガリーで日本人女性が元夫に殺害されました。女性は事件前、「元夫からの被害」を現地の警察や日本大使館に訴えていましたが、その声は届きませんでした。 8日、女性が暮らしたブダぺストのアパート前で行われた追悼集会。 突然、命を奪われた43歳の日本人女性を悼み、多くの人が花を手向けました。 追悼式に参加した知人 「彼女と出会えたことは私の誇りです」 「このような悲劇が二度と繰り返されないように、立ち上がって声を上げてくれる人がこれほど沢山いることを、私は心強く思います」 “二度と悲劇を繰り返さない”そう語った参加者らは、その足で女性が被害を訴えていた警察署に向かい、抗議のメッセージを掲げ… 「お前らの手は血塗られている」 その後、国会前までデモ行進をしました。 女性が亡くなったのは先月29日。 記者 「こちらのアパートの4階の部屋で火事がありました。中が焼けて、黒くなっているのがわかります」 警察は当初、“煙草による失火”として処理していましたが、その後、事態は一転。殺人の疑いでアイルランド人の元夫が逮捕されました。 記者 「こちらの防犯カメラに、元夫が目出し帽で変装し、アパートの中へ入っていく様子が写っていたということです」 これは、火災直前の防犯カメラの映像。元夫が目出し帽をかぶって変装し、現場アパートに入る様子などが記録されていました。 女性を支援していた弁護士に話を聞きました。 女性を支援 ユリア・スプロンズ弁護士 「彼女は『結婚生活の中でも首を絞められたり、経済的にも自由がなく、すべてコントロールされていた』と私に話しました」 弁護士によると、元夫は女性と2002年に結婚。複数の国々を転々とした後、2013年にハンガリーに移り住み、2023年に離婚しましたが… 女性を支援 ユリア・スプロンズ弁護士 「離婚後の去年8月には、パソコンを盗み、銀行口座からお金を盗もうとしたこともあった」 去年11月には元夫から殺害をほのめかすメールが届き、地元警察に相談。しかし、取り合ってもらえなかったと言います。 また、女性は子供2人と日本に帰国することを希望していましたが、元夫にパスポートを取り上げられたため、在ハンガリー日本大使館にも相談していたと言います。 助けを求めた女性の声は、なぜ届かなかったのでしょうか? 批判を受け、地元警察は謝罪動画を投稿する異例の対応をとりました。 ハンガリー警察 「この事件における警察の対応は適切ではなかった。警察を代表してお詫びします」 一方、日本の外務省の担当者は… 外務省の担当者 「DVを受けているということで、警察に相談するよう伝えた。子供については国際条約での“連れ去り”の問題もあり、母親だけの同意でパスポートを出せない難しさがあるが、しっかり相談に乗っていた」 ハンガリー警察は、元夫を計画殺人の罪で訴追。 “被害”を防ぐことはできなかったのか、検証が求められます。