『東京サラダボウル』“鴻田”奈緒の緑髪は決意の証か これまでの謎が次々と明らかに

エメラルドグリーンとコバルトブルーのグラデーションが美しい海を背景に、チマチョゴリを着た小学生の鴻田(奈緒)が描かれたスケッチブック。そこには、アイデンティティと葛藤するスヒョン(水瀬紗彩耶)の自分らしく生きていきたいという願いが込められていたのかもしれない。 『東京サラダボウル』(NHK総合)第6話では、鴻田が国際捜査係の警察官を志すきっかけとなった過去、そして有木野(松田龍平)との意外な繋がりが明らかになった。 前回、鴻田がベランダで見せた涙の理由が気になっていた有木野。普段は他人の人生にあまり深入りしないようにしているのに、わざわざ鴻田を飲みに誘ったのは、彼女の外国人居住者と向き合う姿勢に影響され始めてきた証拠なのかもしれない。そんな有木野に、鴻田は介護施設での窃盗事件で関わったティエン(Nguyen Truong Khang)と進(黒崎煌代)を見て思い出した大切な人について語り始める。 鴻田は福岡の海辺の街で生まれ育った。近所には在日韓国人のコミュニティがあり、夏休みのある日、母親の晴海(星野真里)から買い出しを頼まれて入った韓国食材店の娘・スヒョンと出会う。 やがてオンニ=お姉ちゃんと呼び、慕うようになったスヒョンとその家族から色々なことを教わった。ラーメン(ラミョン)、トンカツ(トンカス)など、日本語と少し違う発音で同じ意味を持つ韓国語があるということ、韓国が食糧難の時代に蚕のサナギを蒸して味付けしたポンテギが貴重なタンパク源だったこと、チマチョゴリという美しい伝統衣装があること……。 知ろうとしなければ、わからないことが世界にはたくさんある。晴海が褒めてくれた鴻田の「誰とでも繋がれる力」は、すなわち知ろうとする力なのではないだろうか。「見た目で判断するとは愚かなことぞ」とスヒョンの父(趙珉和)が教えてくれたように、うわべだけで知ったつもりになるのではなく、目の前の相手に興味を持ち、その人が何を思い、何を大事にしているのかを、五感を駆使して知ろうとする。そんな鴻田の姿勢は国際捜査係の警察官となった今も変わらない。異国の地で自分を理解しようとしてくれる人がいる。それはきっと途轍もない安心感であり、だからこそ外国人居住者たちは彼女に自ずと心を開くのだろう。

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