旧ジャニーズ事務所のSTARTO ENTERTAINMENT(SE社)は12日、所属アイドルグループ「KAT―TUN」が3月31日をもって解散することを公式サイトで電撃発表した。メンバーの亀梨和也(38)は同日付の契約満了をもって退所し、上田竜也(41)と中丸雄一(41)はそれぞれ個人として契約を継続するという。 【記者の目】 2006年にデビューしたKAT―TUNはアイドル王道のキラキラではなく、”不良系”として人気を博した。09年には当時史上初となる8日間連続東京ドーム公演を実現させるなど、将来が嘱望されるグループだった。 しかし活動を続けていく中で、不祥事や方向性の違いから1人また1人とグループを去っていき、16年3月に10周年を迎えたタイミングで田口が脱退。5月1日の東京ドーム公演を最後に17年末まで充電期間に入った。中丸は「理想とするグループ像を目指すために必要な時間」と説明。3人でグループを継続し、絆を深めるために出した最適解だった。 18年1月に再び帆を揚げたKAT―TUN丸だったが、19年に田口が大麻取締法違反(所持)の罪で逮捕され、22年には、過去にも薬物騒動を起こした田中が覚醒剤取締法違反(所持)の罪などで起訴され、有罪判決を受けるなど元メンバーたちが看板に泥を塗った。 どれだけ波瀾(はらん)万丈続きでも、荒波を乗り越えてきた3人だが、コロナ禍による活動の制限に加え、アラフォーに差しかかり将来を見つめ直すのは至極全うともいえる。しかし、昨年1月に結婚を発表したばかりの中丸が同8月に女子大生との不倫が発覚し、活動を自粛したところで帆先は折れてしまった。 グループ愛とともにハイフンと呼ぶファンの存在を大切にしてきた亀梨は、劇的なイメージ低下につながる仲間の痛恨のスキャンダルによって明るい未来が描けなくなってしまったのだろうか。 記者が最後に見た単独ライブは、23年5月の「Fantasia」ツアーの横浜アリーナ公演。やんちゃな異端児からセクシーな大人へと成長した3人が、約20年におよぶKAT―TUNの音楽的なキャリアと変遷を凝縮したようなパフォーマンスで盛り上げていた。上田が「俯瞰(ふかん)でグループを見たとき、KAT―TUNっていいグループだなって再認識しました」と誇らしげに語ったシーンが印象に残っている。 それだけに「やれることはやりきった」なんて全然思っていないだろう。中丸のスキャンダルがなければ未来は違っていたのかもしれない。 (江川悠)