12・3内乱事態を謀議・実行した疑いで拘束起訴されたノ・サンウォン元情報司令官が自身の手帳に「500人余り収集」を目指し、具体的な逮捕計画を立てたことが確認された。ノ元前司令官の「回収」対象には、野党関係者だけでなく「左派判事」、「左派芸能人」などが含まれ、拘置所など「収集所」に送る案も含まれていた。また、「次期大統領選挙に備え、すべての左派勢力を崩壊させる」という内容もあり、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の長期執権を図ったものとみられる。 13日、ハンギョレが確保した70ページの「ノ・サンウォン手帳」には「汝矣島(ヨイド)30~50人回収」、「報道側100~200人」、「民労総」(民主労総)、「全教組」(全国教職員労働組合)、「民弁」(民主社会のための弁護士会)、「御用判事」等が「1次収集」対象の500人余りに含まれた。「逮捕組(逮捕される人たち)」の編成は5人から7人を一組にしてし、バスや乗用車で移動させる計画を立てたものとみられる。手帳には「ヨ:行事人員の指定、回収名簿の作成」、「パク・アンス鶏龍台(ケリョンデ):回収場所、戦闘組織の支援」など内乱に加担した軍将官と推定される名前と役割も書かれている。実際、ヨ・インヒョン前国軍防諜司令官は、非常戒厳当時の逮捕者名簿をホン・ジャンウォン前国家情報院1次長とチョ・ジホ前警察庁長に伝えた事実が確認された。回収措置は1・2次は機務司(現国軍防諜司令部)、3〜10次は警察を活用すると書かれていた。 手帳に書かれた回収対象の多くが「政治家逮捕組」の名簿と重なる。最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表、チョン・チョンレ議員、クォン・ス二ル前最高裁判事、チョ・グク前祖国革新党代表、司会者のキム・オジュン氏などだ。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領、イ・ジュンソク改革新党議員、作家のユ・シミン氏の名前もあった。この他に民主党所属のソ・ヨンギョ議員、コ・ミンジョン議員、ユン・ゴニョン議員、チュ・ミエ議員、パク・ポムゲ議員、ノ・ヨンミン元大統領室秘書室長、そして2023年9月にイ・ジェミョン代表の拘束令状を棄却したユ・チャンフン判事なども含まれていた。「大佐→海兵捜査団長」とは、(海兵隊員)C上等兵殉職事件を捜査したパク・チョンフン前海兵隊捜査団長(大佐)を指すものと推定される。司会者のキム・ジェドン氏と有名サッカー選手出身のチャ・ボムグン氏の名前も言及されたが、彼らも「回収対象」だったとみられる。 「A」級に分類される対象には「グループ別に束ねず、混ぜて収集所に送る」、「捕縄を活用」する計画が立てられた。特に、左派裁判官、左派検事、左派放送局の主要幹部などに対しては、「キム・ドゥファン(キム・ドゥハンの間違いとみられる)時代のように、暴力団を使って左派を粉砕させる案」を講じた。これだけでなく、「兵舎内の寝床に爆発物を使用」、「確認射殺が必要」、「刑務所1カ所を丸ごと(収容される人たちのための)食べ物、給水、化学薬品」とし、殺害計画とみられる内容もあった。手帳には逮捕対象を収容する場所も具体的に書かれている。別名「収集所」と表現された収容場所としては、「午陰里(オウムリ)、県里(ヒョンリ)、麟蹄(インジェ)、江原道華川(ファチョン)、楊口(ヤング)、鬱陵島(ウルルンド)、馬羅島(マラド)、前方民統線側」などが挙げられた。検察と警察は、軍部隊と軍施設が多数ある国境地域を意味するとみている。 北朝鮮と接触して北朝鮮を利用するという方法も書かれている。手帳には「非公式の方法」とし、「何を提供するのか(北朝鮮)接触時の保安対策」としたうえで、「外部委託業者による魚雷攻撃」、「NLL付近で北朝鮮の攻撃を誘導したり、最初から北朝鮮で拿捕直前に撃沈させる案など」とし、北朝鮮を引き入れようとしたとみられる内容もあった。 非常戒厳の後続措置と推定される部分もあった。手帳には「憲法、法改正」とし、「3選(3期連続)執権構想方案」、「後継者は?」と書かれていた。憲法を改正し、尹大統領の3期目までの政権維持を推し進めようとした疑いがある。 ノ元司令官の手帳に盛り込まれた内容は、昨年4月の総選挙前から計画されていたものとみられる。手帳には時期を総選挙前後に分けて「総選挙後に立法をして執行することは容易ではない。実行後、芽を除去して根源をなくす」と書かれていた。非常戒厳令も約1カ月間続けようとしたものとみられる。尹大統領は「2時間で終わる戒厳令が一体どこにあるのか」とし、「啓蒙令」だったと主張しているが、これを実行する実務者の準備は違っていたというのが手帳に書かれた情況だ。ノ元司令官は警察で「キム・ヨンヒョン前長官の発言を書き留めた」と陳述したという。内乱重要任務従事者であるキム前長官もまた「ノ・サンウォン指示が私の指示」だと部下たちに指示した情況があるため、手帳内容が実際に非常戒厳計画段階につながったのかについて追加捜査が必要とみられる ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ [email protected] )