日本の入管収容制度と入管法は恣意的な(思うがままの)拘禁を禁じた国際法に違反している–1300日以上も入管施設に収容された2人の外国人男性が訴えた裁判が結審した。判決は5月に言い渡される。裁判所が違法と判断すれば入管行政への影響は大きい。提訴から3年、何が問われたのか。「知られざる法廷」から報告する。(元TBSテレビ社会部長 神田和則) ■1300日収容と2週間だけ仮放免の繰り返しで、自殺未遂、うつ病に 「日本の入管法では、残念ながら、どのような目的の収容も、どんなに長い収容も許されてしまいます」 「入管法がそもそも収容の目的や上限期間について定めておらず、原則収容主義、無期限収容を許しているからです」 1月28日、東京地裁(本多智子裁判長)で開かれた15回目の法廷。原告弁護団の浦城知子弁護士が最後の弁論に臨んだ。 「この裁判が入管収容における原則収容主義、無期限収容、そして司法審査がない(裁判所の判断を受けられない)ことが間違いだったという転換点になるはずです。いま、この原則を変えなければ、これからも入管で無期限収容や司法救済なき収容による犠牲者が出るのを止めることができません」 裁判は、強制退去処分となり入管施設に収容されたトルコ国籍のクルド人デニスさんとイラン国籍のサファリさんが起こした。 訴えによると、デニスさんは2007年に来日、トルコ政府による少数民族クルド人への迫害を理由に4回難民申請したが認められず、計1384日収容された。 サファリさんは1991年に来日、祖国で不当に自由を奪われるなど迫害を受けたとして3回難民申請したが認められなかった。入管収容は1357日に上る。 かつて入管当局は、外国人が非正規滞在となっても拘束を一時的に解く「仮放免」を弾力的に運用していた。しかし東京五輪を控えて「送還の見込みが立たない者であっても、収容に耐え難い傷病者でない限り、原則、送還が可能となるまで収容を継続し送還に努める」(2018年)と方針を転換した。