自民、立憲民主両党は、刑事手続きをデジタル化する刑事訴訟法などの改正案を修正する方向で調整に入った。 「電磁的記録提供命令」創設規定が人権侵害につながりかねないとして、同規定に一定の歯止めを設けることを検討している。修正協議が最終合意に達すれば、自民は改正案を18日にも衆院法務委員会で採決したい考えだ。 改正案は逮捕状や捜索令状をオンラインで請求・発付できるようにするのが柱。この中に、捜査機関が令状に基づいて電子データを個人や企業に提出させる「電磁的記録提供命令」が盛り込まれている。命令を正当な理由なく拒否すれば1年以下の拘禁刑などが科される上、捜査機関は命令について外部に漏らさないよう命じることができる。 提供命令を巡り、立民は犯罪と無関係の個人情報が捜査機関に大量に取得・蓄積される恐れがあると批判。特に口外を禁じる「秘密保持命令」を問題視しており、SNS事業者などに無期限でこの命令が出された場合は、やりとりの当事者らが捜査機関のデータ取得を知るすべがなくなり、不服申し立てすらできなくなると指摘している。 鈴木馨祐法相はデータ取得が犯人に知られれば「罪証隠滅行為や逃亡に及ぶことも想定される」と秘密保持命令の必要性を強調しているが、少数与党の自民内にも「修正は避けられない」(閣僚経験者)と理解が広がる。秘密保持命令には修正により最長1年の期限が設けられる方向だ。立民は個人情報保護への配慮規定創設なども求めており、両党は改正案採決に向けて協議を急ぐ方針だ。