札幌市の繁華街・ススキノのホテルで2023年7月、会社員男性(当時62歳)を殺害し頭部を切断したなどとして、田村瑠奈被告(31)ら親子3人が殺人などの罪に問われた事件で、殺人ほう助罪などで起訴された父、修被告(61)の裁判員裁判の論告求刑公判が18日、札幌地裁(渡辺史朗裁判長)であり、検察側は懲役10年を求刑した。「修被告の協力がなければ計画は実現不可能だった。凶器の購入や現場への送迎などで手助けしたことは明らか」と強調した。 公判は結審し、3月12日に判決が言い渡される予定。 検察側は、瑠奈被告が男性と会う約束をした同年6月18日以降、修被告がナイフやキャリーケース、漂白剤など瑠奈被告の計画に必要な物を次々に購入したと指摘。家族で話し合う「ディスカッション」で事前に殺害計画を把握したとした。 また論告求刑に先立つ意見陳述で、男性の妻が「もし逮捕できていなかったら次の犠牲者が出ていたのではないか。できるだけ重い処罰を望む」とした書面を読み上げた。 一方、弁護側は「瑠奈被告の殺意や計画を知っていたと示す証拠は全くない。損壊行為をビデオ撮影したことも遺体損壊のほう助にはならず、いずれの犯罪も成立しない」として全面無罪を求めた。 修被告は「警察に通報せず、ご遺体の損壊というさらなる事態を招いたことは悔やみきれない。生涯、親としての責任を果たしていく」と涙声で話した。【後藤佳怜】