“お遍路”の札所で「お守り」盗み続けた男 住職が追跡し遂に“御用” 防犯カメラが捉えた犯行の一部始終【福岡発】

豊かな自然に囲まれた福岡・篠栗町。古くから弘法大師空海ゆかりの寺院を巡り旅をする参拝者「お遍路さん」の町として知られている。事件があったのは、「篠栗四国八十八カ所霊場」の1つ39番札所の延命寺。度々「お守り」を盗んでいた“罰当たり”な男の犯行の一部始終を防犯カメラが捉えていた。 「あってはいけないですけど、『怒り』がまず出た」。こう話すのは延命寺の住職。普段は売れても月に数個だという「お守り」が、大量になくなっていることに気づいたのが、2024年の12月30日。年末のことだった。 不審に思った住職が、防犯カメラを見たところ、そこには驚きの映像が捉えられていた。2024年12月21日。寺の前に停められた黒い車。 降りてきたのは、「中年の男」だった。お堂に入ると、きちんと手を合わせて「お参り」すると、辺りをキョロキョロ。 おもむろに「お守り」に近付くと、手に取って眺め始める。1枚、2枚、3枚…、次々に「お守り」を手に取った。 と思った次の瞬間、男は、「お守り」を自分のポケットに入れたのだ。更に別の「お守り」を眺めると、またポケットへ。男は、そのまま寺を去って行った。 防犯カメラで犯行の様子を確認した住職は、「まず率直に怖いというイメージがあった。何をされるか分からないというのがあるので」と当時の不安な気持ちを語る。 その2日後、寺の外には再び防犯カメラに映っていた黒い車が現れた。降りてきた男の手には、青い袋のようなものがぶら提げられている。 今回もお堂に入るとしっかりと手を合わせた。まるで今からやることを許して欲しいとでもいうのか?「お参り」はきちんとする男。 そして、再び「お守り」を物色すると、この日は持ってきた袋に入れて盗んで行った。 更に2日後の12月25日、お堂に入ってきた男は、遂に「お参り」をしなくなっていた。この日も「お守り」を盗む罰当たりな男。盗まれた「お守り」の被害総額は約5万円ほどにのぼるという。 「こんなことが続くと周りのお寺やお参りされる方にも影響があってはいけない」という思いにかられた住職。「なんとか盗みを止めて頂きたい」という思いから、犯人を追いかける決心をしたという。 年が明けた2025年1月16日。男は、また寺にやって来た。狙いを定めたのは、1番大きな「お札立て」。いつも通り持ってきた袋に入れて盗みをはたらく男。 その物音に気づいた住職は、すぐに車で後を追いかけた。 しばらく走ると対向車線に通報を受け、寺に駆け付ける途中のパトカーとすれ違う。 住職に気付いたパトカーが、逃げる男の車を追いかけ、男はついに“御用”となった。 窃盗の疑いで逮捕されたのは、福岡・宇美町に住む無職の男で、警察の調べに対し、容疑を認め「お守りを集めるのが好きだった」と供述したという。 「もし人にあげるとか、そういうことであっても、悪いことをして人にあげても何の御利益もない。そうしたことは2度として欲しくない」と住職は憤りを露わにした。 あまりに罰当たりな「お守り」窃盗事件。警察は逮捕した男の余罪についても捜査している。 (テレビ西日本)

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