メンズエステの男性利用客に対して〝美人局〟の手口で現金を脅し取ったとして、恐喝などの罪に問われた八木華艶被告(27=逮捕時)の初公判が2月14日、東京地裁で開かれた。 起訴状によると、八木被告は客に「女の子が嫌がる行為をしたら罰金」と誓約書にサインをさせた上で、女性セラピストに性的サービスを持ち掛けさせ、“美人局”の手口で現金200万円を脅し取ったという。 「客が性行為に応じると、セラピストは待機している八木被告に連絡。共犯者らと数名で現場に乗り込んでいました。そして『ここは風俗じゃない。そういうことをしたいならソープに行ってくれ』『誓約書にサインしましたよね?』などと脅し、違約金名目で現金を脅し取っていました。警視庁は昨年の11月に、恐喝と監禁の疑いで八木被告ら男女9人を逮捕。彼らは4つのエステ店で集客し、同様の手口で犯行を繰り返していました。昨年の10月までに都内では、同様の被害による相談が170件あまりも寄せられており、警視庁は警戒を強めていました」(捜査関係者) 水色のスエットを着用し坊主頭の八木被告は、上背こそないものの鍛え上げられた大胸筋を誇示するように悠然と入廷。傍聴席を見渡すと、威圧するような鋭い視線を投げかけるなど悪びれる様子はない。証言台に立ち、職業を問われると「僧侶」と答え、起訴事実について「間違いありません」と認めた。 「風俗とよく混同されるのですが、メンズエステでは性的サービスは禁止です。しかし、過当競争が激しくセラピストに性的サービスをさせる店もあります。客もそうしたグレーな部分に期待するので、最近ではメンズエステをめぐるトラブルが急増しています」(事情通) 法廷では、そんな男性客の下心につけ込み、組織化された犯行の手口が明らかになった。 ◆施術が始まるまで違法性がわからない 施術場所はメンズエステ店が指定したラブホテルだ。八木被告はセラピストをラブホテルに送り迎えするドライバーを担当していた。男性客が部屋に入ると、極端に面積の少ないTバックのような紙パンツに着替えさせる。キャミソールにパンツ姿のセラピストは、男性客を四つん這いにして、鼠蹊部をしつこく擦ったり、セラピスト自身の陰部をこすり付けるようにして腰をグラインドさせる。 そして、男性が”本番”行為に及ぶと、突然 「(本番)やっちゃダメって言ったよね?」 と文句を言い出すという流れだ。セラピストはすぐに八木被告に連絡し、ホテルのフロントで待機していた八木被告が、男性客の免許証などを撮影し、おカネを払うように要求していたという。 「LINEのやり取りで八木被告の『事故った?』の問い掛けに、セラピストが『イエス』と返信したやり取りも見つかっています。性交を『事故』、違約金を回収することを『キリトリ』と隠語で呼んでいたようです」(前出・捜査関係者) 組織的な犯行で被害総額は約3500万円にも上るとみられている。「不同意性交で捕まった人もいる」と言われて脅されたケースもあり、男性客にも落ち度がないとはいえないため、被害届を出せずに泣き寝入りするケースも少なくないそうだ。 八木被告のエステ店は、表向きは性的サービスを禁止しつつ、風俗営業の許可を取得していたという。サービスを受けるまで違法性がわからず、気がつけば犯罪に巻き込まれていたケースだが、この手の犯罪は、まだまだ増加傾向にあるという。 おかしいと思ったら、すぐに警察に相談することが大切だろう。