「孤立・困窮・自暴自棄」附属池田小事件や秋葉原通り魔事件などとの共通点も【長野駅前3人殺傷事件】一方で逃走や証拠隠滅などの相違点、1か月経ても黙秘、待たれる矢口雄資容疑者の動機解明

JR長野駅で3人が刃物を持った男に襲われ1人が死亡、2人が重軽傷を負った事件から22日で1か月になります。 宮入キャスター: 事件の取材を続ける小口記者とお伝えします。 矢口雄資容疑者は依然事件について黙秘を続けているようですね。 小口記者: 未だに動機はわかっていませんが、全国では過去に無差別的に人を襲う同様の事件が繰り返し発生しています。 その特徴を取材し、今回の事件との共通点を探りました。 駅前でバスを待っていた3人を次々に襲ったとされる矢口容疑者。 多くの人が行き交う長野駅前でなぜ事件を起こしたのか? 被害者との面識はなく無差別的な犯行とみられています。 犯罪心理学に詳しい、関西国際大学の中山誠教授は、今回のような無差別殺傷事件には、大きく分けて3つの特徴があると指摘します。 その一つが「人間関係のトラブル・孤立」です。 関西国際大学 中山誠教授: 「割と人間関係のトラブルを抱えていて、家族とか友人とか、あるいは職場、人間との関係が希薄になる」 中山教授は事例として、2001年、大阪府池田市の小学校で児童8人が死亡、15人がけがをした事件をあげます。 過去に3度の離婚をしていた元死刑囚の男は、元妻との復縁を望んでいたものの、突き放され、その後、生活にも行き詰った末、犯行に及びました。 さらに、2008年に17人が死傷した東京・秋葉原の通り魔事件。 元死刑囚の男は職を転々としながら孤立を深めていた上、依存していたインターネット上でのトラブルの末、犯行に及んだといいます。 マンションの一室に単身で暮らしていた矢口雄資容疑者。 捜査関係者などによりますと、近所付き合いはなく、親族とも疎遠となっていて、周囲との関わりはほとんどなかったとみられています。 中山教授: 「人間関係の孤立、そういうこともあって、仕事をしても長続きしない、職を転々として、最後の方は無職になる、経済的な困窮に追い込まれる」 2つ目の特徴は人間関係のトラブル・孤立から生じる「経済的な困窮」です。 生活保護を受けていたという矢口容疑者。 捜査関係者によりますと、過去には職を転々とし、中には勤め先から解雇されたこともあったということです。 事件のおよそ1年前から無職の状態が続いていて、自宅の電気や水道が止められるなど、困窮を深めていたとみられます。 過去の事件では、経済的な困窮から凶行に及んだケースもあります。 2021年、容疑者の男を含む27人が死亡した大阪市のクリニック放火事件や、同じ年に10人がけがをした小田急線刺傷事件。 大阪の事件では、男は自宅の電気やガスが止められるなど、生活に行き詰っていたとされ、小田急線で事件を起こした無職の男も、生活保護を受けながら万引きを繰り返していたとされています。 経済的な困窮は犯行の動機になり得るのでしょうか。 関西国際大学 中山誠教授: 「生活が困窮しているからと言って、無差別殺人をやったって、お金は得られない訳ですよ。だからそこは直接的な犯行動機とは結びつかない」 「最後の一線を越えるトリガーっていうんですけど、引き金になる、その線が生活の困窮ということが一つの原因となるかもしれない」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加