松山ホステス殺人事件の犯人の手記を基にし、石田えりの監督・脚本・編集・主演で映画化した「私の見た世界」が7月26日から公開される。 1982年(昭和57年)8月19日に発生し、15年の時効まであと数日という1997年(平成9年)7月29日に犯人である福田和子が逮捕され、日本犯罪史に残る大事件として世間の耳目を集めた松山ホステス殺人事件。その福田和子が松山拘置所内で自ら綴った原稿用紙360枚にわたる激動の半生「涙の谷」(扶桑社刊)を原作に、石田が、自ら監督・脚本・編集・主演の4役に携わり映画化。石田にとって初の長編監督作で、整形手術を繰り返し、14年11カ月10日にわたった逃走の日々を新たな視点から描き出す。 36歳の女は、4人の子供たちから愛されている普通の母親だった。が、幼い頃に受けた心の傷は、無意識に、彼女自身に影響を与えていた。そして、大変なことをしてしまう。顔を整形し、時効までの15年を逃げ切ろうと決意する。世間から極悪人と呼ばれるようになる。逃げれば逃げるほど、普通の顔をした世間の悪意は強まってゆく……。7月26日からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。 ▼石田えりコメント 生きていれば、どんな人でも、できれば逃げ通したいものに出会う。 考えるのが面倒なこと。過去にしでかした罪や受けた傷。 どうすることもできないと思っている性癖。トラウマ。 しかし、「逃げる」ということは、「追われる」ということだ。 いったいどうしたら「解放」されるのだろう? ある日、その答えのヒントになるような夢を見た。 人に言うとバカみたいと思ったが、その3日後、 詩人の谷川俊太郎さんが見た夢を語られているのを、偶然テレビで観た。 全く同じ夢だった。驚いた。 私はこの夢のことを、 時効寸前まで15年逃げ続けた、整形殺人犯「福田和子」自身の手記を基に、 伝えられたらいいなと思いました。