ドイツのペトラ・ジグムント駐日大使は25日、東京都内の日本記者クラブでの記者会見で「ドイツ国民は移民の流入に非常に不安を感じている」などと指摘。23日の連邦議会(下院)の総選挙で反移民の右派「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進したことを踏まえ、「議論の方向性は移民政策の是正にある」と述べた。同氏の会見は昨年8月の就任後初めて。移民問題に関する一問一答は次の通り。 ■移民の流入管理、総選挙の争点に ――AfDが非常に勢力を伸ばした背景について移民への強硬な姿勢などが指摘されている 移民の流入管理は今回の選挙戦で非常に大きな争点となった。政治の分野でも、国境審査や取り締まりを厳格化すべきだといった議論をはじめ、証明書類を携行していない入国希望者を国境で送り返す措置や、国外退去義務がある人を収容施設に入れたり、一歩進んで強制退去措置をとるべきだという議論もある。 さらには犯罪を犯した外国人に対し、より厳しい措置をとるべきだといった提案が次々と行われている。 これはやはり、ドイツ国民が移民の流入に非常に不安を感じているためだと思う。ドイツとして移民、外国人を吸収する能力が限界に達してしまっているという意識が、多くの国民の中にあるということだと思う。 ドイツはこれまで、たとえばウクライナや他の紛争国から逃げてきた難民申請者を受け入れてきた。一方で、亡命や難民申請の理由がしっかりとあるわけではない人々も、ドイツに居続けるような状況が進んできた。 こうした移民の流入について各政党とも、政策の是正を行っていかなければならない方向性に議論はあるかと思う。 ■もはや移民に寛容な国ではない? ――移民・難民の規制強化は、ドイツがもはや寛容な国ではないことを意味するのか。規制強化によって深刻な労働力不足を招く懸念はないか 職業的な技能を持つ外国人材のドイツへの流入はこれまでの政権も促進してきたし、(最大野党で保守の)キリスト教民主同盟(CDU)の選挙公約にも推進がうたわれている。 もう1つ、アフガニスタンやウクライナの戦争から逃れてきた難民申請者が多数おり、個人として政治的な迫害を受けてドイツや欧州に逃れてきて、難民申請する人々もいる。