指定暴力団稲川会大場一家系組員らによる組織的な覚醒剤の密売事件を捜査してきた富士署、静岡県警薬物銃器国際捜査課などは26日までに、密売行為の中心的役割を担ったとされる大場一家系組員の男(49)=富士市松岡=ら5人を覚醒剤取締法違反などの疑いで逮捕、再逮捕し、覚醒剤を買い受けた県内外の40~60代の男女17人も同法違反の疑いで逮捕した。押収量は320グラム、末端価格約2千万円(1万回分)で、売買は県内で手渡しで繰り返されたとみられる。県警は密売の収益が暴力団組織に流れていたとみて、実態解明を続ける。 「売人」側として他に逮捕されたのは大場一家系組長の無職の男(50)=静岡市駿河区南安倍3丁目=、大場一家幹部の無職の男(50)=沼津市下香貫石原=、会社役員の女(40)=静岡市駿河区有東1丁目=、会社員の女(51)=富士市松岡=の4容疑者。 県警によると、組員の男が受注から受け渡しまでを担い、組長と幹部が指示をしていた。会社役員は組員と組長の知人で、会社員と組員は内縁関係。 組員、組長、幹部の3容疑者は氏名不詳者らと共謀して2024年12月2日、富士市松岡の駐車場に止めた軽乗用車内で、営利目的で覚醒剤約20グラムを所持した疑いで、2月25日に再逮捕されるなどしている。 組員は会社員の女とともに24年12月2日ごろ、薬物犯罪収益約450万円を女の居室に隠匿したとして、麻薬特例法違反の疑いでも再逮捕された。会社役員は23年1月30日~24年4月1日、計10回にわたり約65万円を自分名義の口座に振込送金させるなどしたとして同法違反容疑で2月18日に逮捕された。 県警は24年12月2日、会社役員名義で契約されていた富士市内の倉庫など複数箇所を一斉家宅捜索し、覚醒剤320グラムに加え、現金計600万円を押収した。客からの突き上げから暴力団組員の関与が浮上し、内偵捜査を進めていた。 携帯電話などで購入依頼を受けた組員の男が、指定した場所で手渡しする手口だったとされる。任意捜査での摘発者を含めると、一連の事件で判明した客は数十人に及ぶという。