コンクリート詰めにされた子どもとみられる遺体が大阪府八尾市の集合住宅で見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された飯森憲幸容疑者(41)が、「遺体を入れた衣装ケースは昨年秋、近くの家から台車に載せて移動させた」と供述していることが捜査関係者への取材で判明した。この家に住んでいた80代の父親は同じ頃に現場の住宅に転居しており、大阪府警八尾署は飯森容疑者が父の転居に伴って遺体の保管先の変更を迫られたとみている。 府警によると、飯森容疑者は容疑を認め、「遺体は自分が預かった姉の娘で7歳ぐらい。十数年前にコンクリート詰めにした」と説明。「(生前に)殴った」とも話している。 白骨化した遺体は身長約1メートルで子どもとされる。府警は飯森容疑者の一連の供述内容から姉は実在しているとみているが、現時点で本人と連絡が取れていない。供述の裏付けを急ぐとともに、遺体の身元や死因の特定を進めている。 飯森容疑者は2024年11月初旬ごろから、八尾市跡部本町1の集合住宅の一室に性別年齢不詳の遺体を遺棄した疑いを持たれている。コンクリート詰めにされた遺体は金属製の衣装ケース(重さ約228キロ)に入れられ、ダイニングキッチンの押し入れに隠されていた。 この住宅には飯森容疑者の父親が24年10月下旬に入居し、その後に退去。衣装ケースを不審に思った管理者の警察への申告で事件が発覚した。飯森容疑者は、八尾市と隣接する大阪市平野区で暮らしていた。 捜査関係者によると、飯森容疑者は衣装ケースについて「元々は父親が住んでいた別の家にあった」と供述している。この家は現場から東に約200メートル離れた八尾市太子堂2の集合住宅。飯森容疑者の供述では、24年11月初旬にこの家から自身の交際相手の女性とともに衣装ケースを運び出し、台車に載せて父親の転居先だった現場の住宅に移したという。 死体遺棄罪の公訴時効は3年。飯森容疑者は十数年前から遺体の保管を続けていたとみられる一方、本人の供述から現場の住宅での遺棄罪は成立すると判断して逮捕に踏み切った。 一方、女性は「(飯森容疑者に)頼まれて運んだが、中身を知らされていなかった」と説明したため、府警は逮捕を見送った。【林みづき、斉藤朋恵、大坪菜々美】