逮捕された元時津風親方、偽標章で違法駐車「罪の意識ない」元刑事が指摘「今回も軽い気持ちなのか?」

大相撲の元幕内時津海で時津風親方を務めた坂本正博容疑者(51)が2月、偽造された駐車禁止除外指定車標章を使った偽造有印公文書行使の疑いで警視庁神田署に逮捕された。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は4日、よろず~ニュースの取材に対し、4年前に角界での不祥事で本人を単独取材した際の証言も踏まえて見解を示した。 逮捕容疑は2月5日午前9時45分ごろ、東京・墨田区両国4丁目の路上に駐車する際、偽の標章を車のダッシュボードに掲示した疑い。坂本容疑者は知人に交付された標章をカラーコピーし、違法駐車を繰り返していたとみられており、容疑を認めている。東京・千代田区で昨年7月、標章を掲示して頻繁に路上に止まっている車があるとの通報があり、警視庁が捜査を進めていた。偽の標章は複数確認されており、入手した経緯を調べている。 小川氏は「東京で使われた標章は70代男性のものだったということが取材から分かりました。以前の麻雀仲間だったということです。以前は、この標章はコピーではなく、実物を借りて、坂本容疑者が使っていたようです。ただ、必要な時だけ借りるのも面倒になったのか、それでコピーしたということです。そのコピーも相手が承諾しているのか、本人が勝手にやったのかはまだ分かっていません」と解説した。 坂本容疑者が不正に使った標章は少なくとも2枚確認されており、千代田区で昨年使われた標章は神奈川県公安委員会から交付されたものだったという。小川氏は「神奈川の方の標章は大相撲の関係者が所有しているものを坂本容疑者がカラーコピーしていたことが分かっています」と補足した。 坂本容疑者は時津風親方を務めていた2021年1月の大相撲初場所中、日本相撲協会の新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反した不要不急の外出を禁止する行動制限に違反し、2月に「退職勧告」の懲戒処分を受け、角界を去っていた。小川氏は当時、連日の過熱する報道を避けて都内某所に滞在していた坂本容疑者を直撃取材し、本人の思いを聞いていた。 当時の坂本容疑者は同席した記者の質問に対して「不要不急の外出は協会のガイドライン違反ですから、反省して認めています」と非を認めた。小川氏には「母からも電話があって2日も3日も寝られないと…。親に泣かれたら、ここで、ちょっと身を引こうかなと。別の仕事をするか?まだ分かりませんが、子どももいますし」と胸中を吐露。憔悴した様子で、何度も「悪いのは私ですから」「(弟子や3人の子どもに)申し訳ない」という言葉を繰り返していた。 しかし、その4年後、〝容疑者〟として名前が報じられることになった。殊勝な言葉で〝反省〟の弁を述べていた人物だっただけに、支援していた人たちには〝裏切られた〟という思いもあるだろう。 小川氏は 「4年前に本人を取材した時には、『軽い気持ちで』 という言葉を何度も繰り返していた記憶があります。今回も『軽い気持ち』なのか?今回、違法に駐車していた場所は両国でした。両国と言えば坂本容疑者が親方をしていた時津風部屋の地元です。坂本容疑者の車両は目立つ車であり、地元では顔は知られた存在。罪の認識が全くないんだろうとしか思えない」と指摘した。 さらに、小川氏は「実は、もっと危惧していることがあります」と切り出した。「現役の力士は、自分自身で車両を運転することは禁じられているとのことですが、役力士になるとマネージャー等に運転手をさせ、車両を所有している方もいると聞いています。今回、駐車禁止除外指定車標章をカラーコピーして不正に使っていたわけですが、このカラーコピーが、坂本容疑者自身1人の物なのか、他にもこのカラーコピーが『軽い気持ち』で出回っている可能性はないのかと、危惧しています。万が一、そのようなことがあれば、そのカラーコピーをシュレッダーしたり、焼却することなく、警察に事情を説明すべきです」と呼び掛けた。 そもそも、この標章は歩行が困難な障害のある人らに交付され、対象者本人が運転、もしくは同乗している時にのみ使用可能。だが、偽造した標章を不正使用し、駐車違反を免れようという姑息(こそく)な行動が「犯罪」という自覚がないまま横行している。今回、相撲界で親方まで務めた人物がそうした違反行為を常習化し、逮捕されたことで、改めて社会問題としてクローズアップされている。

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