島根県警は5日、県東部に住む50代の女性が9804万円の特殊詐欺の被害に遭ったと発表した。県内の特殊詐欺被害としては、2015年8月に松江署管内であった7520万円の架空料金請求詐欺を上回り、過去最高額という。 県警生活安全企画課などによると、昨年12月15日、女性の携帯電話に着信があり、音声ガイダンスで「2時間後に電話を止める」などと告げられた。女性が案内に従って操作すると男が電話に出て、「兵庫県で契約された携帯電話が犯罪に利用されており、連絡先の電話も止める」などと言われた。 さらに、刑事を名乗る男に「あなたの携帯電話や通帳が特殊詐欺に使われていた。逮捕する」、検事を名乗る女から「保釈金を払え」と言われ、指定された口座に800万円を振り込んだ。 同月下旬ごろからは、検察事務官を名乗る男が電話を掛けてきて「株や保険も売却して振り込め」と指示されるなどし、同月30日までの間に31回、計9804万円を振り込み、だまし取られた。 女性はビデオ通話アプリを使って警察官のような制服を着た相手の姿や「保釈許可決定」と書かれた書類などを見せられることもあったという。 資金の工面に疲弊した女性が今年1月に家族に打ち明け、警察に相談。2月末に被害届を出した。（中川史）