「大川原化工機」を巡る起訴取り消し事件で、公文書毀棄容疑などで書類送検され、不起訴となった警視庁公安部の元捜査員について、東京地検は10日、公文書毀棄容疑を再び嫌疑不十分で不起訴にした。検察審査会が不起訴を「不当」と議決したが、故意があったと認定するのは困難だと判断。時効が成立する11日を前に処分を決めた。残る虚偽有印公文書作成・同行使容疑の捜査は続ける。 同社側の審査申立書によると、警視庁に逮捕された同社元取締役島田順司さん(71)の取り調べを担った元捜査員は2020年3月、言い分を聞き取る弁解録取書を故意に破棄した上、過失で破棄したとする虚偽の報告書を同庁に提出したとしている。東京第4検察審査会は今年2月25日付の議決で、廃棄の動機などを再捜査し「不起訴処分を再考することが必要だ」としていた。 事件を巡っては、ほかにも当時の捜査員2人が、同社の「噴霧乾燥装置」に関する温度実験で虚偽の捜査報告書を作成した疑いで書類送検され、東京地検は1月、嫌疑不十分でいずれも不起訴とした。