多久市発注のテニス場の照明設備改修工事を巡って入札に関する情報を漏らしたとして、佐賀区検は11日、市総合政策課の前課長(58)=同市南多久町=を官製談合防止法違反の罪で、業者側で電気設備工事会社「佐電工」(佐賀市)の営業本部副本部長(55)=多久市東多久町=を公競売入札妨害の罪でそれぞれ略式起訴した。 佐賀簡裁は同日、前課長に罰金50万円、副本部長に罰金30万円の略式命令を出した。 起訴状などによると、2022年10月25日に行われた照明改修工事の指名競争入札に関し、前課長は総合政策課長だった同9月下旬ごろ、入札の秘密事項の指名業者名を佐電工の営業部長だった副本部長に教えたとしている。副本部長は同10月13日ごろ、指名業者7社に対して見積内訳書を渡し、佐電工より高い金額で入札するよう依頼するなどして同社に落札させたとしている。 入札は8社が参加して佐電工が1880万円で落札した。予定価格は1934万円で、落札率は97・2%だった。財源にはふるさと納税寄付金が活用されていて、前課長は当時、事業の発注状況の確認や事業の完了確認などの業務を担っていた。 佐賀県警は2月18日に2人を逮捕し、市役所を家宅捜索した。2人とも捜査段階で容疑を認めていた。市は逮捕後、前課長を総務課付けとしている。略式命令を受けて市は「裁判所の命令などを確認した上で、懲罰委員会で処分を検討することになる」とした。(取材班)