(CNN) インド当局は13日までに、960億ドル(約14兆円)の取引を処理したとみられるロシアの暗号資産(仮想通貨)交換業者「ガランテックス」を運営した疑いで米国が指名手配していたリトアニア人の男を逮捕した。テロ組織や麻薬密売人、サイバー犯罪者はこの交換業者を使って資金洗浄を行っていた。 アレクセイ・ベシオコフ容疑者をめぐっては、先週行われた、ガランテックスの差し押さえや、2600万ドルの資産凍結、同容疑者と共犯とされる人物に対する起訴状の公開により米国主導の捜査は山場を迎えていた。容疑者の逮捕によって捜索は締めくくられた形だ。 米国は、ベシオコフ容疑者について、バージニア州東部地区連邦地方裁判所への引き渡しを求めるとみられ、実現すれば、世界的な犯罪やテロを助長しているとされる資金洗浄サービスに対する長年の戦いで大きな勝利を収めることになる。また、この逮捕は、トランプ政権がサイバー攻撃作戦など一部の分野でロシアへの圧力を緩めた一方で、司法省がロシアとつながりのある容疑者を精力的に追及し続けていることを示してもいる。 司法省によると、ベシオコフ容疑者はロシア在住だった。インドに渡った理由は不明。 司法省の報道官はCNNに「ガランテックスの管理人の一人であるアレクセイ・ベシオコフ容疑者が、米国の要請によりインドで逮捕されたことは確認できる」と語った。報道官はそれ以上のコメントを控えた。 財務省は2022年、ガランテックスに制裁を科した。司法省によると、これに対しベシオコフ容疑者らは「ガランテックスの運営方法を再設計」して制裁を逃れ、米企業をだまして取引させた。起訴状によると、ガランテックスが15年から19年の間に処理した取引は960億ドル相当に及ぶ。