<まる見えリポート>立場悪用の性犯罪相次ぐ 被害者支援「電話相談を」 三重

三重県内で立場を悪用した性犯罪が相次いで発覚している。県警は4日、生徒へのわいせつ容疑で、元私立校教員の男(49)を再逮捕した。先月には少女に性的暴行を加えたとして、公立中の教諭(42)が逮捕されたほか、未成年の利用者に対してわいせつな行為をしたなどとして、障害者施設職員の男2人が相次いで逮捕、起訴された。身近な人から受ける性被害は他人に相談しづらく、潜在化しやすい。県警で犯罪被害者の支援を担当する警察官は「ためらわずに相談してほしい」と話す。 県警によると、県警が昨年認知した性犯罪のうち、不同意性交が前年比15件増の41件、不同意わいせつが同4件減の54件。未成年の被害は合わせて44件で、全体の約46%を占めた。 認知件数が増えた理由の一つは令和5年7月施行の改正刑法。「強制性交罪」「強制わいせつ罪」が「不同意性交罪」「不同意わいせつ罪」に変わり、立場を利用した行為などが明文化された。 一方で、性被害は周りの人が被害に気付きにくく、被害者が自ら申告するまで発覚しないことも多い。身近な人から被害を受た場合はより人に相談しづらくなり、被害者が一人で悩みを抱え込みやすいという。 そこで、県警は性犯罪の被害者が電話で相談できる全国共通の短縮ダイヤル「#8103」の利用を呼びかけている。県内で発信すると、平日の日中(午前8時半―午後5時15分)であれば県警の被害者支援室に、土日祝日や夜間は当直の警察官につながる。 被害者支援室では男女の警察官、臨床心理士などの資格を持つ職員らが対応する。家族や学校、職場に知られることなく匿名での相談が可能で、相談者の意思を尊重して対応に当たるという。 事件性があると判断すれば担当の警察署に連絡し、被害届の提出などを手伝う。カウンセリングなどの支援を受けることもできる。事件にならない場合でも、公的な支援を紹介したり、承諾を得た上で関係機関に引き継いだりする。 県が運営を民間委託する「みえ性暴力被害者支援センター よりこ」は電話以外にもメールやLINE(ライン)での相談も可能だ。専門の相談員による面接、病院や警察への付き添い支援などを受けることができる。 一方で、相談窓口の認知度には課題がある。県が昨年実施した県民1000人を対象にしたアンケートでは、被害者支援の相談窓口として%。よりこを知っている人は12・3%にとどまる。 県や県警は、県内の小学校で性に関する課外授業を実施するなど、性被害を受けた場合の対処法を伝えるとともに、相談窓口の認知度向上に取り組む。県警の担当者は「相談してきた人を放っておくことはない。一人で悩まず、まずは相談してほしい」と呼びかける。

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