またしても鹿児島県警の不祥事です。 鹿児島県警は21日会見を開き、2月、知人女性に対する不同意性交の疑いで書類送検された県警本部の前捜査2課長について、さらに別の知人女性に捜査情報を漏えいした疑いで書類送検していたことを明らかにした上で、停職1カ月とする懲戒処分を発表しました。 鹿児島県警・岩瀬聡本部長 「このような事態を生じさせてしまったことについて、県警察の責任者として県民の皆さまに深くおわび申し上げます」 21日付で停職1カ月の懲戒処分を受けたのは、県警本部の前の捜査2課長、安部裕行警視です。 鹿児島県警・岩瀬聡本部長 「複数の女性と並行して不適切な異性交際を行い、関係女性の1名に対し、当時、自らが捜査2課長として指揮にあたっていた事件に関する情報を漏らした」 県警によりますと、安部警視は警察庁のキャリア官僚で、着任当初の2023年8月から2024年12月ごろにかけて、複数の女性と並行して不適切な交際をしていました。 このうちの女性1人に対する不同意性交の疑いで2月14日書類送検されていました。また、安部警視は別の女性1人に、2024年4月から6月の間に自身のスマートフォンからメッセージアプリを使って、複数回にわたり捜査情報を送信して漏えいした疑いで、3月12日、鹿児島地検へ書類送検されていました。 漏えいした情報は、当時、安部警視が捜査していた2つの事件に関するもので、調べに対して安部警視は「仕事で忙しいことを相手に理解してもらうために、事件に関する情報を伝えていた」として、捜査情報の送信を認めているということです。 県警はこれらの事情を踏まえ、「警察への信頼を著しく損なった」などとして、21日付で安部警視を停職1カ月の懲戒処分としました。 安部警視は辞職する意向は示していないということです。 また鹿児島地検は、書類送検された2件の容疑について、21日付けで不起訴としています。 地検は不同意性交については、関係者のプライバシー保護の観点から理由を差し控え、情報漏えいについては動機が悪質とは言えず、漏えい先の女性が事件とは無関係であることなどから起訴猶予と説明しています。 さらに県警は21日、捜査第2課長の新たな人事を発表し、3月27日付で警視庁捜査第1課の森野青警視が着任することを明らかにしました。 県警の捜査2課長としては2人目の女性です。 2024年度に入り、何度もこのような謝罪会見を繰り返してきた県警。 改めて不祥事の経緯をまとめました。 2024年度がスタ-トしたばかりの4月以降に、警察官が相次いで逮捕されました。 当時49歳の巡査長が捜査情報を漏えいした疑いで逮捕されたのを皮切りに、51歳の警部が不同意わいせつの疑いで、そして5月、32歳の巡査部長は公衆トイレで盗撮した疑いで逮捕されました。 この3人にはいずれも有罪判決が下されています。 さらに県警の最高幹部の1人、前の生活安全部長までもが、警察の内部情報を漏らした疑いで逮捕されるという、異常事態とも言える状況に陥ります。 相次ぐ不祥事を受けて2024年8月、県警は再発防止策を発表。 その実効性を担保するために、幹部クラスで組織された改革推進委員会では、9月末までに再発防止策に着手することが決まったんですが、明るみになる不祥事は跡を絶ちませんでした。 10月には詐欺事件をはじめ、3つの事件で被害届の受理をしぶるなど、不適切な対応があったとして現職警察官36人が処分されました。 そして年が明けた2025年2月、県警本部の捜査2課長である安部警視が知人女性への不同意性交の疑いで書類送検され、その捜査の関連で情報漏えいの疑いも発覚し、懲戒処分と合わせて21日発表されました。 ここには主なものを挙げていますが、このほかにも警察官が懲戒処分を受けた事案が複数ありました。 再発防止に向けた動きが道半ばとはいえ、あまりにも多すぎる不祥事。 そもそも考えられた再発防止策は機能しているのか、県警にはその検証と県民への情報提供を徹底して欲しいと思います。