元警察官証言「外国人に不審事由がなくても職務質問は当たり前」 外国籍者の職務質問経験は日本国籍者の5.6倍 友人と一緒の小学6年生にも…「レイシャルプロファイリング訴訟」で弁護団が新証拠【“知られざる法廷”からの報告】

人種、肌の色、国籍、民族的な出自のみに基づく職務質問は「レイシャルプロファイリング」による差別であり違法だ–として、外国ルーツの男性3人が国、東京都、愛知県を訴えた裁判で、今年2月、原告側弁護団が新たな証拠を提出した。「外国人に不審事由がなくても職務質問するのが当たり前だった」などの元警察官証言、外国籍者は受けた経験が日本国籍者の5.6倍に上るとの比較調査結果、中には小学6年生に対しても…との当事者証言という3つの柱で構成されたもので、いずれも実証的な内容だ。「外国人という外見のみを理由に職務質問するようなことはない」と主張してきた被告側はどう反論するのか。「知られざる法廷」から報告する。(元TBSテレビ社会部長 神田和則) ■原告「外国ルーツの見た目で職務質問」、被告「不審事由があった」 「(差別的な職務質問は)存在しないと被告は言うが、(外国籍者と日本国籍者の)大規模な比較調査と専門家の分析、元警察官や(原告と)同じような経験をされた人の証言で、存在していることを立証する」 今年2月28日に開かれた第5回口頭弁論、原告側の谷口太規弁護団長が新たな証拠の意義を強調した。東京地裁で最も広い法廷には満席となる約100人が傍聴に訪れ、関心の高さをうかがわせた。 この裁判は、24年1月、3人の男性(アフリカ系アメリカ人、南太平洋諸国の出身者、パキスタン人の両親を持つ日本国籍者)が起こしたもので、「何も不審事由がないのに、外国ルーツの見た目を理由に職務質問された」として、警視庁と愛知県警による人種、肌の色、国籍、民族的な出自のみに基づく職務質問が違法であることの確認や、国(警察庁)には各都道府県警に対してこうした職務質問をしないように指揮監督する義務があることの確認などを求めている。 職務質問について警察官職務執行法(警職法)は、次のように規定している。 「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者または既に行われた犯罪について、もしくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」

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