否認したことで身柄拘束が長引く「人質司法」の運用を許容している刑事訴訟法の規定は違憲だとして、無罪が確定した男性ら4人が24日、国に対し、1人当たり110万円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。男性らは「容疑者や被告にも人権がある」と訴えている。 訴状によると、原告は暴行罪で起訴され計3カ月半勾留された後に無罪が確定した浅沼智也さん(35)のほか、不同意わいせつ致傷事件で逮捕、起訴され一審で無罪判決を受けた被告ら。保釈請求の却下などにより身柄拘束が続いた。 勾留や保釈は刑事訴訟法に根拠があり、逃亡や罪証隠滅の恐れなどを考慮すると規定。原告側は「罪証隠滅の蓋然性を欠く事件でも、身柄拘束の根拠として規定が多用されている」とし、人身の自由を保障する憲法などに違反し無効だとしている。 提訴後に会見した高野隆弁護士は、人質司法の原因について「恣意的な解釈をする余地がある漠然とした刑訴法の条文自体にあり、違憲性を問う」と強調。浅沼さんは「容疑者や被告の人権が侵害されることがあってはならない」と語った。