「稼げる仕事がある」。その言葉につられ足を踏み入れたのは、違法に女性を性風俗店に紹介するスカウトの世界だった―。SNSを通して勧誘した女性を全国約350の風俗店に派遣し、約70億円を稼いでいたとして警視庁が全容解明に乗り出している大規模スカウトグループ「アクセス」。構成員は約300人に上ったとされ、その中には学生もいた。「社会のことを知らな過ぎた」。ソープランドに女性を紹介したとして職業安定法違反罪などに問われた元大学生の被告(22)は、東京地裁の公判でグループに加わった後悔とともにその活動実態の一端を明かした。(共同通信=助川尭史) ▽「稼ぎたい人に紹介するだけ」、後ろめたさ感じず 今年2月の東京地裁の法廷。黒のスーツに身を包んだ被告は大柄な体を縮め、落ち着かない様子で弁護人の隣に座っていた。緊張が隠せない表情にはあどけなさが残る。柵越しの傍聴席では両親ら家族が不安そうに見つめていた。