【AFP=時事】エルサルバドルで少年刑務所に子どもが収監されている親たちが、ナジブ・ブケレ大統領に対し、未成年者を成人受刑者と同じ刑務所に収監する計画を撤回するよう求めている。 首都サンサルバドルの南東約100キロ、ヌエバクルサディリャに住むマルガリータ・ラミレスさんの息子ダスティンさん(16)は昨年4月、学校の壁にギャング関連の落書きをしたとして、近隣の少年10人と共に逮捕された。その後、禁錮5年とさらに5年の保護観察処分を言い渡された。 無実を主張しているラミレスさん一家の絶望は、2月にいっそう深まった。ブケレ大統領が推進していた未成年者を成人刑務所に収監する改革を議会が承認したからだ。 15歳の息子が服役中だというモイセス・カンポスさん(44)は「彼らはみんな子どもだ。大人や犯罪者と一緒に収容されるべきではない」と主張する。 当局は、未成年者は成人とは別の房に収監されるとしている。だが、子どもとの面会を許可されていない親たちにとって、これが安心材料となることはない。 未成年受刑者の家族らはまた、ギャングメンバーが収容される成人刑務所には、更生や社会復帰のためのプログラムが欠如していることも懸念している。 国連(UN)は未成年者を成人刑務所へ収監するエルサルバドルの改革を「重大な後退」と批判している。人権団体「クリストサル」のサイラ・ナバス弁護士は「更生プログラムがない刑務所では、暴力的な行動を学ぶことになってしまう」と警告した。 ブケレ大統領は殺人事件を大幅に減少させたことで、国内での人気が非常に高い。だが人権団体は、多くの無実の人々が弁護を受ける権利を与えられずに投獄されていると指摘している。ブケレ政権下で8万6000人以上がギャングメンバーとして逮捕されたが、うち数千人が無罪と判明し、釈放された。 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、エルサルバドルでは2022年3月以降、3000人以上の子どもが拘束されている。一方、大統領府の人権担当官アンドレス・グスマン氏はAFPに対し、拘束されている未成年者は600人未満だと述べた。【翻訳編集】 AFPBB News