イーロン・マスク氏が米国の政府効率化省(DOGE)を率い、連邦政府のさまざまな機関で人員を削減している。解雇の実態を伝えるニュースによると、こんな具合に解雇される。 エネルギー省で、2000人の人員削減に関する通知が出されたのは2月13日だった。脱炭素、温室効果ガス削減事業担当の男性は、当日連絡がなかったことから「解雇された人には申し訳ない」と一種の罪悪感を持ちながら退庁した。 翌朝、起床し公的なメールへのアクセスが遮断されていることに気がつき、私用メールをチェックしたところ「あなたの仕事を廃止することが公共の利益に適う」との解雇通知を見つけた。 米連邦政府職員は、通常1年間の試用期間付きで雇用される。昨年3月段階で試用期間中の職員は22万人だった。今回解雇対象になった多くの職員は試用期間中だったとされる。 そんな試用期間中で昨年12月に仕事を始めた26歳の女性も解雇された。仕事中にメールの到着を知らせるベルがなったところ、回りの職員からすぐにメールを見るように促された。メールを見たところ「あなたの雇用継続は公共の利益に反する」との解雇通知を見つけた。当日の午後11時30分にメールのアクセスから遮断された。 政府の効率化、予算削減を図る過程で、あまり仕事のない職員を雇用できないとのマスクの考えも理解されているが、エネルギー省のベテラン職員は、前例のない解雇方法と述べており、マスクへの反感も高まっている。 その状況下で、マスクが最高経営責任者(CEO)を務めるテスラがマスクとDOGEのシンボルとみなされ始め、テスラの株価と車の販売にも大きな影響が出始めた。米国では、テスラのディーラーにデモ隊が押しかけている。ニュースではテスラ車を燃やす映像も流れた。 電気自動車(EV)の販売が今年になっても依然主要市場で伸びている中で、米国だけでなく欧州でも中国でもテスラ車の販売は落ち込んでいる。 それでも、マスクはトランプ支持の姿勢を崩さない。8年前、トランプと喧嘩別れした時とは何が違うのだろうか。