アメリカ・ハーバード大学で企業再生について研究している教授に、フジテレビについて聞きました。再生に必要だと指摘したのは「過ちを決して忘れない姿勢」でした。 ハーバード大学ビジネススクールの大学院で教鞭をとるサンドラ・サッチャー教授。企業の再生を専門とするサッチャー教授は「スキャンダルや不祥事から企業はどう信用を構築し、失い、回復できるのか」という研究テーマで多くの著書を発表してきました。 それらの本には、日本の企業も数多く登場します。 ハーバード大学・経営大学院 サンドラ・サッチャー教授: リクルートは自分たちが大変な問題を抱えていることを認識し、会社の再建に着手した企業の素晴らしい例だと思います。 サッチャー教授が再生を成し遂げた例として挙げたのは、日本のリクルート社。 自ら日本へ足を運んでリサーチし、数年にわたって研究しました。 リクルート事件では、1988年に関連会社の未公開株が政治家や財界人に賄賂として譲渡されていたことが明らかになり、政治家や官僚・関係者らが逮捕され、当時の竹下総理は内閣総辞職に追い込まれました。 サッチャー教授はリクルート社の再生の秘訣は、一部の幹部のことと捉えず、全社を挙げて、再建に取り組んだことだと分析します。 サッチャー教授: 私が最も称賛するのは、リクルートの“決して忘れない”という姿勢です。普通は終わったことだと言いたがるものですが、リクルートは事件について今でもホームページに掲載しています。 過去を忘れていないということです。 では、不祥事を起こし再生を目指す企業にとって、どのような記者会見が求められているのでしょうか。 サッチャー教授: まず第一に、責任を認めた上で謝罪することです。2つ目のポイントは何が悪かったかを説明することです。そして、3つ目は改善です。二度と同じことがないよう、改善策を説明することです。 フジテレビは会見での説明が不十分だったと指摘したサッチャー教授。 会見では、経営陣の責任を問う質問が多く投げかけられました。経営陣が変われば問題は解決するのでしょうか。 サッチャー教授: 人を入れ替えて同じようなタイプの人たちを経営陣にしても何も変わらないでしょう。 もっとビジネスに積極的に興味を持ち適切な決断を下せるような、これまでとは違うタイプの役員でなければなりません。それがフジテレビ再生のプロセスの始まりとなります。 最後にリクルートに関する研究も踏まえフジテレビの再生の道はどうあるべきか聞きました。 サッチャー教授: 彼ら(リクルート)は「誇れる職場で働きたい」という一心で会社の再生に臨みました。そして、幸運にも同じ考えのリーダーがいたのです。リクルートは過去を忘れていません。フジテレビも同じことができると思います。簡単には元に戻せませんが、あなたたちが賢明であるならば、過去を忘れずに、将来正しい道を進もうとするでしょう。 (「イット!」3月25日放送より)