トルコ当局、抗議デモ取材のBBC特派員を国外追放 「公共の秩序を脅かす」と

BBCニュースのマーク・ロウエン特派員が26日に、イスタンブールで拘束された後、トルコから国外追放された。BBCが27日に発表した。 ロウエン特派員は、イスタンブールのエクレム・イマムオール市長が逮捕されたことを機にした抗議活動を報道するため、ここ数日間、トルコに滞在していた。 イマムオール氏は汚職などの罪で勾留されているが、本人は罪状を否認している。イマモール氏は所属する野党・共和人民党(CHP)から2028年大統領選挙の候補者に選ばれており、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の主要な政治的ライバルと見なされている。 BBCは声明で、「けさ(3月27日)、トルコ当局はBBCニュースのマーク・ロウエン特派員をイスタンブールから国外追放した。前26日に彼をホテルから連行し、17時間拘束していた」と述べた。 声明によると、ロウエン特派員は27日朝、自分が「公共の秩序を脅かす」からという理由で国外追放される内容の書面通知を受け取ったという。 27日にロンドンに到着したロウエン特派員は、「私は以前、トルコに5年間住んだことがあり、この国に深い愛着を抱いている。その国で拘束され、国外追放されることは非常に苦痛だ。報道の自由と公平な報道は、どの民主主義においても基本的なものだ」と述べた。 BBCニュースのデボラ・ターネス最高経営責任者(CEO)は、「これは非常に憂慮すべき事案で、トルコ当局に対して申し入れをする」として、「マークはトルコに関する深い知識を持つ、非常に経験豊富な特派員だ。ジャーナリストが、単に仕事をしているだけでこのような扱いを受けるべきではない。私たちはトルコの出来事について引き続き、中立かつ公平に報道していく」と述べた。 人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウオッチのトルコ担当ディレクター、エマ・シンクレア=ウェッブ氏は、国際的なジャーナリストの国外追放に衝撃を受けたとBBCに話した。 「これは、国際メディアに対し、『世界に見せたくない報道を許さない』というメッセージを送るものだ」と、シンクレア・=ウェッブ氏は述べた。 トルコでは各地で大勢の市民が抗議活動に参加し、これまでに1400人以上が拘束されている。 抗議者らは、イマムオール氏の逮捕が政治的動機によるものだと主張しているが、司法省は裁判所の独立性を強調している。 エルドアン大統領はデモを「悪」と呼び、野党が「平和を乱している」と非難している。 これまでに複数のジャーナリストも逮捕されており、これには仏AFP通信のフォトジャーナリストやトルコ人記者らが含まれている。多くは、27日朝に釈放されたと言われている。 数日続いた夜間の抗議活動は停止したが、CHPは29日にイスタンブールで大規模な集会を計画している。 (英語記事 BBC's Mark Lowen deported from Turkey after covering protests)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加