韓国の尹大統領を罷免 憲法裁「戒厳令は違法」 次期大統領選、6月有力視

【ソウル山口卓】韓国の憲法裁判所は4日、昨年12月の「非常戒厳」宣言を巡り、国会に弾劾訴追された尹錫悦(ユンソンニョル)大統領について、罷免する決定を言い渡した。尹氏は即時に失職し、60日以内に次期大統領選が実施される。6月3日投開票が有力視されており、与野党の選挙活動が本格化する。韓国大統領が任期途中で罷免されるのは朴槿恵(パククネ)氏以来、2人目。 尹氏は昨年12月3日夜、野党を「体制転覆を狙う反国家勢力だ」などと主張し1987年の民主化後、初めて戒厳令を宣言した。 ソウルの国会のほか、昨年4月の総選挙に中国などの介入があったとして、中央選挙管理委員会にも軍や警察を投入。国会は直後に解除要求決議案を可決し、宣言から約6時間後に戒厳令は解除された。 国会は解除から10日後の12月14日、尹氏の戒厳令は「憲法が付与した戒厳宣布権を乱用し、内乱罪を犯した」として野党と与党の一部の賛成により弾劾訴追案を可決した。憲法裁の弾劾審判で、尹氏側は「戒厳令は統治行為であり、大統領の高度な政治判断だ」と主張。国会側は「戒厳令の宣言が憲法に定める要件を満たさず、正常な閣議の手続きも経ていない」として違憲、違法だと訴えていた。 尹氏の罷免による次期大統領選には、最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表が立候補する見通しで、最有力候補とみられている。与党「国民の力」の候補者としては、金文洙(キムムンス)雇用労働相や韓東勲(ハンドンフン)元代表などが取り沙汰されている。 韓国世論調査会社のリアルメーターが3月31日に発表した政党支持率は、国民の力が36・1%、共に民主党が47・3%だった。 一方で尹氏は1月に内乱首謀罪で逮捕、起訴されており、刑事手続きも続いている。ソウル中央地裁は3月7日、捜査当局の手続きに問題があり、勾留期間が既に満了した状態で起訴されたと判断。直後に尹氏は釈放された。今月14日に初公判が開かれる。 尹氏は検事総長出身。22年5月に大統領に就任し、本来の任期は27年5月までだった。

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