シリアを乗っ取った「新支配者」アハマド・シャラアの知られざる正体

アサド前大統領が統治していたシリアは、父の代から数えて半世紀以上にわたる長期独裁体制だった。強大な治安機関と軍を背景に、政権に異を唱える声は容赦なく弾圧され、市民は長く沈黙を強いられてきた。そうしたなか、アサド政権を支えてきたイランやロシアの影響力が弱まった隙をついて、政権を崩壊させ、暫定大統領の座に就いたのが、アハマド・シャラア(42歳)だ。民衆の「解放者」のように振る舞うが、その過去をたどると、国際テロ組織アルカイダに忠誠を誓い、自爆テロを繰り返し指揮した「黒歴史」を持つ。さらに、3月上旬、前政権を支持していた少数派住民が大量に虐殺される事件が発生。果たして彼は、分断した国を束ねる指導者なのか、それともイスラム原理主義に装いを変えた独裁者なのか。ジャーナリストの村山祐介氏が、シリア北西部を訪れ実像を探った。

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