サラリーマンがお金持ちになれる確率はそうでない人の4分の1…橘玲が指摘する「正社員」の不都合な真実

誰もが正社員になりたがるが、自由で豊かなサラリーマンはきわめてすくない。作家の橘玲さんは「日本の社会ではサラリーマン以外の生き方が圧倒的に不利だと信じられているが、本当にそうか。会社の寿命はいつのまにか個人の人生よりも短くなっている。会社にしがみついていれば、会社とともに沈んでいくだけだ。いまこそ“もうひとつの道”が必要だ」という――。 ※本稿は、橘玲『新・貧乏はお金持ち』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 ■日本のフリーランスの実態 日本にはいったいどれほどのフリーエージェントがいるのだろうか。それを知るための統計調査は行なわれていないので、既存のデータから類推するほかはない。 『新・貧乏はお金持ち』の親本を執筆した当時、2005年の国勢調査によれば、家事や学業と並行して働くひとを除いた「主に仕事に従事」する約5100万人のうち、20歳以上49歳以下の「臨時雇用者(日々または1年以内の期間を定めて雇用されている者)」は約430万人だった。この中には失業状態の者も含まれるため、それを除くとおよそ300万人が派遣社員・契約社員として働いていることになる。 同じ国勢調査では、「雇人のない業主(個人経営の商店主・工場主・農業主などの事業主や開業医・弁護士・著述家・家政婦などで、個人または家族とだけで事業を営んでいる者)」が約400万人おり、その一部がフリーランスだ。また「役員」は約300万人おり、その一部がマイクロ法人(法人化したフリーエージェント)にあたると思われる。 大雑把にそれぞれ1割とすると、フリーランスは40万人、マイクロ法人は30万社になる。 ■会社に強く依存した日本人の生き方 『フリーエージェント社会の到来』をあらわしたダニエル・ピンクの推計によれば、アメリカには1650万人のフリーランス、350万人の臨時社員、1300万人のミニ会社の役員がおり、フリーエージェントの総数は3300万人だった。それに対して日本は40万人のフリーランス、300万人の臨時社員、30万人のマイクロ法人の役員しかおらず、フリーエージェント人口はアメリカの約10分の1の370万人だ。 特徴的なのは、日本では臨時社員(非正規労働者)の数が、人口が3倍のアメリカとほぼ同数で、その割合が突出して高いことだ。それに対してフリーランスやマイクロ法人の数は5パーセントにも満たない。 日本人の働き方がいかに強く会社に依存しているかわかるだろう。 今回、新版を著わすにあたって確認したところ、2020年の国勢調査では、労働力人口6812万人のうち、会社に雇われている者は約5454万人、そのうち正社員は66パーセントで、派遣社員とパート、アルバイトが34パーセントだった。 会社に雇われていない約1340万人のうち、雇人のない事業主は436万人、役員が362万人で、2005年と状況はあまり変わっていないといえる。

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