北九州市小倉南区のファストフード店で昨年12月、中学3年生の男女2人が刺され死傷した事件で、殺人容疑などで逮捕された同市の無職平原(ひらばる)政徳容疑者(44)について、福岡地検小倉支部が2度目の鑑定留置を検討していることが、捜査関係者への取材でわかった。 同支部の請求に基づく鑑定留置は当初、1月16日から3月14日までとされたが、その後に延長され今月14日に終了していた。同支部は責任能力の有無を調べるため、追加の鑑定を行う必要があると判断したとみられる。裁判所が認めれば、再び鑑定が始まる。 事件は昨年12月14日午後8時25分ごろ、同区徳力1丁目の「マクドナルド322徳力店」で発生。レジに並んでいた男子生徒が腰付近を刃物で刺され全治1カ月のけがを負い、中島咲彩(さあや)さん(当時15)が腹部を刺され死亡した。平原容疑者は男子生徒に対する殺人未遂容疑、中島さんに対する殺人容疑で逮捕・送検された。 福岡県警によると、平原容疑者は中島さんへの殺人容疑について「認めない」と否認、男子生徒への殺人未遂容疑について「殺すつもりはなかった」と殺意を否定していた。 平原容疑者は「事件前に生徒と目が合った」という趣旨の供述をしていたことが明らかになっており、県警は動機の解明を進めている。逮捕後には、正式な弁護人が選任されない状況が続いたため、小倉簡裁が職権で国選弁護人を選任した経緯もある。(杉江隼、興津洋樹)