内乱首謀容疑で起訴された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が初公判で「12・3非常戒厳は平和的な対国民メッセージ戒厳」だったと主張した。 尹前大統領は14日、ソウル中央地裁刑事25部(部長・池貴然)が進行した内乱首謀容疑1次公判に出席し、午前に42分、午後に51分と計93分間の直接抗弁をし、公訴事実を全面的に否認した。4日に憲法裁判所の決定で罷免されてから10日ぶりだ。 この日、尹前大統領は紺のスーツ姿で赤いネクタイを着用していた。地下駐車場で車から降りた後、午前9時50分ごろ法廷に入った。裁判長の池貴然(チ・グィヨン)部長判事が被告人の名前と職業などを確認する認定尋問を進め、「職業は前職大統領で、住居地はどうなるのか」と尋ねると、尹前大統領は「瑞草(ソチョ)4洞アクロビスタ×××号」と答えた。 非常戒厳特別捜査本部所属の検事らはパワーポイント(PPT)資料を活用し、1時間7分ほど公訴事実の要旨を説明した。12・3非常戒厳を「国憲紊乱目的の暴動」と規定した。イ・チャンギュ部長検事は「被告人と金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官は野党の争点法案単独処理強行、政権退陣集会の試み、国務委員など多数の高位公職者弾劾の試み、予算削減、選管委不正選挙疑惑など国政運営の困難を理由に非常戒厳を宣言した」とし「しかしこれは憲法上の非常戒厳宣言要件である国家非常事態、兵力で公共の安寧・秩序を維持する必要があるケースに該当しない」と強調した。 これに対し尹前大統領は検察のPPTをもう一度出してほしいと要請した後、積極的に反論した。冒頭陳述では「私も26年間、検事として多くの人を起訴して拘束した経験があるが、今回の事件の起訴状と拘束令状を検討すると、とうてい内乱罪に論理的に連結しない」とも述べた。 尹前大統領は「私もいくつかの事件を担当しながら12・12、5・18内乱事件の起訴状と判決文を分析したが、このように数時間で非暴力的に国会解除要求を直ちに受け入れて解除した事件を内乱として構成したこと自体が法理に合わないと考える」とし「(12・3非常戒厳は)過去の戒厳のような軍事措置、軍政実施、クーデター、このようなものとは異なる」と強調した。 続いて「2024年春から絵を描いてきたということ自体がコメディーのような話」とし「12・3非常戒厳は平和的な対国民メッセージ戒厳であり、短期間であれ長期間であれ軍政を実施しようとする戒厳ではないというのは戒厳の進行経過を見ればあまりにも自明だ」と抗弁した。 これに先立ち検察が国防部長官に金竜顕前長官を任命したのが「戒厳準備過程」と指摘したことに対しては「戒厳は常に準備しなければいけないことだ。それで合同参謀本部戒厳課があり、マニュアルがあり、いくつかの訓練をする」と述べた。 尹前大統領は警察の国会封鎖に関し「警察はこの人員(当時の国会投入人員)で国会を封鎖できなかった」とし「初期に300人、1000人を超える人員が後に来たというが、これで国会を完全に遮断して封鎖するのは最初から不可能なこと、ナンセンスといえる」と話した。特に「入ることができる人はみんな入り、厳格にみんな入ることができるにもかかわらず、国会議長と野党代表が写真を撮って国会の塀を乗り越えるショーをした」と主張した。 「政治家逮捕指示」に関するホン・ジャンウォン前国家情報院第1次長の証言に対し、尹前大統領は「真っ赤な嘘」と主張した。また「議員を引っぱり出せ」という指示を受けたといった郭種根(クァク・ジョングン)陸軍特殊戦司令官の証言には「最初から民主党が操作したものが口について多くの人の笑いを買った」と話した。 この日、検察側が申請したチョ・ソンヒョン陸軍首都防衛司令部第1警備団長は、「李鎮遇(イ・ジンウ)首都防衛司令官から(国会)本庁内部に進入して議員らを外部に引っぱり出せという指示を受けたというのは正しいのか」という検察側の質問に「その通り」と答えた。キム・ヒョンギ特殊戦司令部第1特戦大隊長は、「『(イ・サンヒョン特殊戦司令部第1空輸特戦旅団長が)大統領が扉を壊しても引っぱり出せと言った』として指示をしたのか』という質問に「はい」と答えた。 次の公判は21日午前10時に開かれる。チョ団長とキム大隊長に対する尹前大統領側の反対尋問が行われる。