後ろ手錠で14時間放置「一部違法」 ペルー人男性が入管訴えた裁判

大阪出入国在留管理局(大阪市住之江区)に収容されていた日系ペルー人の男性が、後ろ手錠で14時間余り放置されるなどした末に負傷したとして国に216万円の賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(堀部亮一裁判長)は16日、拘束を長時間続けたことの違法性を認めて国に11万円を払うよう命じた。 男性はブルゴス・フジイさん(故人)。在留期限が切れて逮捕され、2017年8月に大阪入管に収容された。 訴状などによると、フジイさんは同年12月20日、同じような食事が続くことへの不満を訴えて昼食を拒み、複数の職員に体を押さえつけられて保護室に連行された。翌日の昼まで14時間余りにわたって後ろ手に手錠をかけられ、医師の診断を受けると左の上腕骨にひびが入っていた。 原告側は「暴行も器物破損もないのに、例外とすべき後ろ手錠で拘束し、肉体的・精神的な苦痛を与えた」と指摘。「痛い」と訴えるフジイさんを複数の職員で押さえつけた行為は「拷問だった」と訴えた。 一方の国側は「保安上支障がある場合には戒具の使用は可能」としたうえで、フジイさんの言動は「施設の秩序を害するものだった」と反論。「合理的な限度の範囲内の対応だった」として、請求棄却を求めていた。 フジイさんは提訴後の20年5月に仮放免され、21年9月に膵臓(すいぞう)がん治療のため在留特別許可が認められたが、23年4月に49歳で亡くなった。訴訟は近しい人物が引き継いでいる。(大滝哲彰)

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