1975年に上映された映画『新幹線大爆破』のストーリーが再構築され、リブート版という形でNetflixにて配信されている。走行中の新幹線に爆発物が仕掛けられるテロ事件を描いたノンストップサスペンスだ。今年は世間を震撼させた地下鉄サリン事件から30年という節目の年。それだけに鉄道とテロの関係を改めて考えなければならない年とも言える。フリーランスライターの小川裕夫氏が、鉄道事業者が取り組んできたテロ対策について考察する。(JBpress編集部) ■ 旧作公開時から飛躍的に増えた新幹線の利用者数 1975年に上映された映画『新幹線大爆破』が2025年4月23日よりNetflixでリブート配信(主演:草彅剛)され、話題となっている。 高倉健主演の旧作は東海道新幹線に爆発物が仕掛けられ、列車が時速80 km以下に減速すると爆発するという設定だった。今作は東北新幹線が舞台となるなど異なる部分はあるものの、走行中の新幹線に爆発物が仕掛けられる事件を描いている点は同じだ。 旧作の上映から半世紀が経過し、鉄道を取り巻く状況も大きく変わった。当時の新幹線は東海道と山陽新幹線しか開通していなかったし、そもそも国鉄は分割民営化されてJRになっている。 当時、東海道新幹線は高度経済成長を遂げるシンボルのように語られ、日本の大動脈を担っていた。その後、日本の経済状況は大きく変化したが、それでも東海道新幹線が日本経済に果たしている役割は変わっていない。それどころか利用者数・運転本数は当時と比較して飛躍的に増え、むしろその役割は以前よりも増している。 それだけに、『新幹線大爆破』のような事態が起きれば、社会は大きな混乱状態に陥り、日本経済に与える打撃は計り知れない。 『新幹線大爆破』はあくまでもフィクションで、幸いなことに日本国内の新幹線で爆発物を使ったテロは起きていない。しかし、在来線に目を転じると爆破事件はいくつか起きている。それらの事件を振り返っておこう。