尹前大統領の自宅と夫人の会社を家宅捜索…「前大統領夫人の金品授受」有無が焦点

易占術師の「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏(64)と前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の金品授受疑惑を捜査中の検察は30日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領とキム女史の自宅と、キム女史が経営していた会社「コバナコンテンツ」の事務所を家宅捜索した。尹前大統領が罷免され不逮捕特権が失われてから26日たって着手された強制捜査だ。 ソウル南部地裁仮想資産犯罪合同捜査部(パク・ゴヌク部長)はこの日、尹前大統領夫妻が居住するソウル市瑞草区(ソチョグ)のマンション集合地「アクロビスタ」に検察官と捜査官を送り、家宅捜索令状を執行した。検察は「チョン氏の請託禁止法違反事件について、前職大統領の私邸に対する家宅捜索令状の執行に着手した」と明らかにした。検察は、尹前大統領の住居に加え、アクロビスタの商店街の1階にあるコバナコンテンツの事務所と、コバナコンテンツ出身で大統領室においてキム女史の随行秘書を務めたY氏とJ氏の自宅も家宅捜索を行った。尹前大統領は罷免された後、漢南洞(ハンナムドン)の官邸を出て瑞草洞の自宅に移り、一部の荷物をコバナコンテンツの事務所に移していたとされる。検察は家宅捜索令状に請託禁止法違反容疑を明記し、キム女史を被疑者ではなく参考人と記載した。家宅捜索の過程で疑わしい点が発見された場合、尹前大統領夫妻は被疑者となり、疑惑も賄賂や斡旋収賄などに変わる可能性がある。家宅捜索は午後3時40分ごろに終了し、検察はキム女史の携帯電話とパソコンも押収した。 検察は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の世界本部長だったY氏が、2022年に尹錫悦前大統領が大統領選に当選した直後、チョン氏にキム女史への贈り物という名目で6000万ウォン(約600万円)のダイヤモンドのネックレスとブランドバッグなどを渡した事実を把握し、実際にこれらの金品がキム女史に渡されたかどうか、Y氏の請託が成立したかどうかを解明することに捜査を集中している。旧統一教会の内外では、Y氏が政府の公的開発援助(ODA)を通じて旧統一教会のカンボジア開発事業への支援を受けるため、キム女史側にロビー活動をしたと分析されている。検察は家宅捜索令状に、チョン氏がキム女史に、Y氏の要請した大統領就任式への招待や旧統一教会の事業関連への便宜などを請託したと疑われるという内容を加えた。 今後、尹前大統領の在任期間中は不逮捕特権などを理由に着手されていなかった各種の疑惑の捜査に弾みがつくものとみられる。ソウル高等検察庁はキム女史の株価操作疑惑の再捜査に着手し、ソウル中央地検は尹前大統領夫妻の公認介入疑惑と、虚偽事実公表の選挙法違反の告発事件を捜査中だ。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は海兵隊員C上等兵殉職事件への外圧に関する捜査を再開し、ソウル警察庁は尹前大統領の候補者時代における秘密選挙陣営の運営疑惑を捜査中だ。ある検察幹部は「ソウル南部地検がキム女史に対する贈り物用のネックレスが渡された状況などが判明し、強制捜査が必要だと判断して家宅捜索に着手したものとみられる」として、「違法な選挙事務所の運営、政治ブローカーのミョン・テギュン氏による公認への介入、株価操作などの疑惑が具体的に出てきただけに、これらに関する家宅捜索も引き続き行われるものとみられる」との見通しを述べた。 チョン・ヘミン記者、キム・ガユン記者、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ [email protected] )

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