「こちらは警察です」 警察官を騙る詐欺・被害者が語る手口とは【徳島】

警察官を騙って「あなたの口座が犯罪に使われている」などといい、金を振り込ませる詐欺の被害が相次いでいます。 こうした手口の詐欺に遭いかけた男性が、犯人とのやり取りの一部始終を明かしてくれました。 (男性) 「まさかと思いました」 (記者) 「心当たりは?」 (男性) 「全くないです」 県内に住む70代のAさん。 2025年1月、1本のLINE電話がかかってきました。 (男性) 「徳島県警の〇〇と申します」 「『青森県のドコモショップで、あなた名義で携帯電話が登録されました』と(電話があった)」 警察からだという突然の連絡。 携帯電話の契約、しかも青森でなど、身に覚えのない話に困惑したAさん。 警察を名乗る男はこう続けました。 (再現) 「ワタナベという男が1億5000万円の詐欺をして、あなたに報酬として1割を渡したと言っている」 「お金を返さなかったら、あなたを逮捕する」 Aさん名義の携帯電話が詐欺に使用されたため、共犯者として逮捕すると言うのです。 さらに男はビデオ通話を使い、顔と警察手帳を映して、本物の警察官だと主張しました。 そして…。 (男性) 「逮捕状とか送ってきて、その時も電話で逮捕するために、こんな書類もできました」 逮捕状だといって送られてきた書類には、通話で聞き出したとみられるAさんの氏名や生年月日、住所などが。 ご丁寧に、裁判所の判子のようなものも押されていました。 家族にも他言しないよう求める「守秘義務命令書」などというものまで…。 (男性) 「県警の名前書いてきたり、判子も押されていたり、本物のように見せるんは、素人では見破れんのでそこで本物かなと思いました」 その後、男は逃走防止のためとして、Aさんに定時連絡を求め、一日に数回LINEでメッセージを送るように指示しました。 やり取りの中でAさんは「おかしい」と思い、知り合いの警察官に相談。 詐欺と指摘され、被害を免れました。 県警は一連のやりとりで相手を信用させ、のちに口座内の預金が犯罪収益でないかどうかを調べるなどといって、金を振り込ませる手口だったのではないかと指摘します。 (男性) 「自分で悩んだところで何もできない。相手も巧妙に出てくるけんね」 「中途半端で太刀打ちできない。おかしいなと思ったらすぐに相談に行くこと」 こうした警察官を騙る詐欺の手口について、専門家は…。 (トビラシステムズ・柘植 悠孝 セキュリティリサーチャー) 「犯罪者からすれば、相手を騙すための材料が必要になる」 「警察は権力を持った組織なので、その権威性を悪用している」 「通常、警察からそうした電話がかかってくることはないはず」 「普段起きえないことが起きたということで、パニックの状態に陥らせるという意図もあると思う」 さらに最近は、より巧妙な「スプーフィング」と呼ばれる手口も増えています。 (トビラシステムズ・柘植 悠孝 セキュリティリサーチャー) 「発信者番号偽装とも呼ばれる手口で、被害者を騙すために、実在する警察署の電話番号を表示させて」 「あたかも本物の警察から、かかってきたかのように思わせるという手口」 海外の通信事業者などが提供する「IP電話」などを使った手口とみられ、こうした手口を使えば、実在する警察署の番号を偽装して、電話を掛けることも不可能ではないといいます。 (トビラシステムズ・柘植 悠孝 セキュリティリサーチャー) 「ひとつの対処策として、電話番号を検索してみるという方も多いと思うが、検索しても本物の警察署の電話番号と一致してします」 「なので、より騙されやすい巧妙な手口になっています」 「その都度にはなるが、そういう手口が発生しているということを、一般の方に置かれましても知っていただくことが重要」 県警によりますと、警察官を騙った詐欺というのは増加傾向にありまして、4月はこうした相談がおよそ200件あったということです。 県警は、「警察など捜査機関が電話やLINEなどで捜査していると告げたり、逮捕状を見せたりすることはない」「ましてや銀行口座の番号やパスワードを聞いたり、お金を振り込むよう要求することは絶対にない」として、「不審な連絡があれば相談してほしい」と呼びかけています。

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