JAL制服スタッフ、今年も成田古民家レストラン御料鶴で接客 次世代育成へ航空の魅力伝える

日本航空(JAL/JL、9201)のグループ会社が成田空港近くで運営する古民家風レストラン「DINING PORT 御料鶴(ごりょうかく)」で5月15日、JALグループの制服スタッフによる接客が始まった。昨年に続く企画で、7月18日までの平日のみ、客室乗務員(CA)や地上係員(グランドスタッフ)らが接客する。JALグループのスタッフがレストラン利用客に航空業界の魅力を伝え、JALグループや成田空港のスタッフなど業界を担う次世代の育成を目指す。 ◆利用客と交流する“制服組” 空港で働く仕事の魅力・やりがいを発信する「お仕事紹介し隊」として、制服を着用するさまざな職種の社員がボランティアで参加。CAと地上係員のほかパイロット、整備士、貨物スタッフ、グランドハンドリング(グラハン、地上支援)スタッフなど各部門から参加し、平日のランチ時間にあたる午前11時から午後3時まで、1日3人程度が接客する。“制服組”は利用客との交流を担うため、接客やドリンクの提供などにとどめ、料理は御料鶴の“本職”スタッフが提供する。 御料鶴を運営するJAL Agriport(JALアグリポート、成田市)によると、お仕事紹介し隊はボランティア参加のため、急なスケジュール変更などで不在の日が生じる可能性があるという。 ◆花桝社長「地域貢献に資する」 成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は、3つあるターミナルを1つに集約する「ワンターミナル」構想を掲げている。JAL Agriportの花桝健一社長はワンターミナルへ向け、航空業界での働き手確保が重要との認識を示し、今回の接客を通じ航空業界の魅力を発信したい考えだ。 制服スタッフによる接客は昨年に続き2回目。花桝社長によると、利用客からの反響は大きく、今年の企画も決めたという。次回の開催は未定だが、繁忙期を避けた期間や、来年の開催も視野に入れる。 花桝社長は「われわれは成田で航空分野以外で活動している。本当に小さな取り組みだが、こういった草の根的なところからしっかり始めることで、地域貢献に資する」と述べた。 ◆18歳新人は緊張の“初接客” 初日となった15日のみ、5人のグループ社員が接客。それぞれ、業務の合間を見つけて参加した。接客したのはJALスカイでラウンジ業務を担当する戸田瑛利さん(26)と空港カウンターでチェックイン業務を担う関本桃子さん(26)、JALエンジニアリング(JALEC)でエンジン整備を担う栗山あかりさん(25)、JALカーゴハンドリングで郵便業務を担う若原帆南(こな)さん(18)、ボーイング787型機の副操縦士を務める大上譲司さん(38)で、パイロットの大上さんは昨年に引き続いての参加となった。 5人のグループ社員は御料鶴のオープン前に、レストランの本職スタッフとブリーフィング。当日の予約状況などを確認し、来客に備えた。オープン後に予約客が続々と来店し、水の提供や自身の仕事内容をアピールするなど、利用客との交流を図った。 5人のうち、業務で旅客との接点があるのはJALスカイの戸田さんと関本さんの2人のみ。通常はラウンジで接客する戸田さんは接客後、「最初は緊張したが、いつも通り楽しく接客できた」と振り返った。チェックイン業務を担う関本さんは、レストランの利用客から成田の地上係員は24時間働いているのか、と聞かれたようで「まだまだ(24時間空港ではない)成田空港のことを知らないお客さまがいるという発見があった」と話した。 JALカーゴハンドリングの若原さんは今年4月入社の新人で、接客も人生初だったという。「貨物部門はお客さまと顔を合わせてお話しする機会が少ないので、とても貴重な経験」と緊張した様子で振り返った。JALECの栗山さんは「整備は男性色の強い職場だが、身近に感じてもらいたい」と、今回のボランティアを通じアピールしたい考えだ。 787副操縦士の大上さんは、昨年に続き2年連続での参加となった。「久しぶりだったので緊張した」大上さんは、利用客から時差の克服方法などを質問されたという。「話を純粋に楽しめた。お客さまへ(ボランティアを)周知されていて、質問を用意されているような方もいらっしゃった」と振り返った。 5人ともシフト業務のため、今後のシフトとの兼ね合いで接客業務を決めていくという。次回の接客は未定だが、5人とも異口同音で「また応募したい」とした。 御料鶴は2020年3月6日にオープン。地元農家から借りた古民家をリノベーションし、成田市周辺9市町の農産品を使った料理を提供するほか、成田と羽田両空港の国際線ラウンジの名物「JAL特製オリジナルビーフカレー」も用意している。

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