東京五輪パラ贈賄罪に問われた角川歴彦被告、初の被告人質問で「決裁権ない」「知らなかった」

東京オリンピック(五輪)パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(81=受託収賄罪で公判中)側への贈賄容疑で22年9月に東京地検特捜部に逮捕・起訴された、出版大手KADOKAWA前会長の角川歴彦被告(81)の公判(中尾佳久裁判長)が20日、東京地裁で開かれ、同被告が初の被告人質問に臨んだ。 角川被告は、24年10月8日の初公判で「起訴事実は全く身に覚えがない」などと無罪を主張していた。この日は弁護側が質問したが、KADOKAWAがスポンサー選定の対価として高橋被告側にコンサル料として賄賂を送ったとされている件について「知りませんでした。(コンサル契約締結は)聞いたことがないし(契約書も)見たことがない」と否定。高橋被告と知人がコンサル会社を経営していたことも「知らない」と答え、東京五輪のスポンサー交渉を、どことしていると思っていたか? と聞かれると「電通」と答えた。 起訴状によると、角川被告はKADOKAWA元専務と元担当室長(ともに有罪確定)と共謀し、大会スポンサーへの選定と、協賛金の低減と迅速な手続きを要請したことへの見返りとして、19年年9月から21年1月にかけて、高橋被告に約6900万円の賄賂を提供した疑い。 角川被告は、10年6月に代表取締役会長兼CEOを退き、代表権のない取締役会長となっており「極力、自分の権限は置かずに社長に権限を預けた」と、自らに決裁権はなかったことを強調。東京五輪の話は、KADOKAWA社内の当該セクションから、五輪のガイドブックの出版に関して電通から提案があった旨、聞いたとした上で「いいことだと思った一方で、それ以上でもそれ以下でもないと思った」と振り返った。 当時、自身の仕事は出版事業とコンテンツに関わるものだとし、東京五輪に関しては「自分の仕事ではありません」と口にした。17年4月に組織委にあいさつに行ったのも、会長だった森喜朗元首相を知る人物が当時のKADOKAWA経営陣にはおらず、04年アテネ五輪で開催された文化五輪の視察団の団長、団員の関係で親交があった自身が出向く流れになったと説明した。その際、高橋被告にもあいさつしたことは認めたが「組織委の人だと思った。森さんに会いに行ったので、高橋さんに会いに行ったわけじゃない。話した覚えはない」と断言。さらに、KADOKAWAの元専務と元担当室長が高橋被告を訪問したことなども「報告を受けたことはありません」と主張した。 当時の社長や元専務からスポンサーになるための金の払い方について、法に触れる可能性があるから法務の担当者に確認させる旨、話はあったか? との質問も出た。角川被告は「聞いたことはない」と答えた。19年1月には、元専務から五輪スポンサーが決まった旨、報告があったが、2億5000万円と聞いていた出資金が2億8000万円に増えた理由は聞いていたか? との質問も出た。角川被告は「聞いたことはない。電通が、どこかから取られたなと思った。本来、2億5000万円だったものに3000万円が乗っかる。不思議だと思った」とも語った。

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