英語能力試験「TOEIC」の試験会場に他人になりすまして侵入したとして、中国籍で京都大大学院生の王立坤(おうりつこん)容疑者(27)=京都市左京区=が18日に建造物侵入容疑で現行犯逮捕される事件があった。警視庁によると、王容疑者は「試験を受けたら報酬を渡す」というメッセージを受け取り、昨年6月と今年3月にも別人を装って受験していたという。何があったのか。 「顔写真は同じだが、名前が違う受験生がいる」 今月に入り、同じ人物が別人を装って試験を受けている可能性があるといった相談が試験の運営法人から野方署に寄せられた。署員は、18日の試験会場になっていた東京都板橋区の施設で警戒をしていた。 すると、午後2時50分ごろ、試験会場に王容疑者が現れた。王容疑者は受付で「受験票を忘れた」と申告した。 ■待ち構えていた警察官 話を聞くと・・・・・・ 署員が話を聞いたところ、偽の身分証を示して予備の受験票を作成し、「替え玉受験」をしようとしたことを認めたという。野方署は、正当な理由がないのに試験会場に侵入した疑いがあるとして建造物侵入容疑で現行犯逮捕した。 「替え玉受験」の本当の目的は何だったのだろうか。 捜査関係者によると、試験の運営法人から同署には、「900点以上のスコアの中国人が最近不自然に増えた」「会場で中国語をぶつぶつとしゃべっている受験生がいる」といった情報も寄せられていた。 王容疑者の所持品を調べたところ、容疑者が装着していたマスクの内側には、通信用とみられるアンテナ付きの約4センチの小型マイクが隠されていた。3月の試験でも別人になりすまして受験していた王容疑者は満点990点のところ、945点の高得点を記録していた。 20日に建造物侵入と有印私文書偽造・同行使の両容疑で送検された王容疑者。調べに「お金を稼げるアルバイトを探していた。2024年冬ごろに『試験を受けたら報酬を渡す』と中国語でメッセージが届いた。偽の身分証は都内で中国人から受け取った」などと話しているという。