6月の北中米W杯アジア最終予選2試合に臨む日本代表に招集されたMF佐野海舟(マインツ)が28日、千葉市内での自主トレ後に記者会見を開き、昨夏の事件について「昨年の自分の行動によってたくさんの方々にご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。その上で「自分にできることを日々考え、サッカー面ではプレー、行動、言動で自分が出せるものを出し続けていきたい。プレー以外でも自分にできることを考え、社会に貢献し続けたい」と決意を述べた。 佐野は負傷のため参加を辞退した昨年3月のW杯2次予選以来の日本代表招集。前所属の鹿島からマインツへの移籍が発表された直後の昨年7月14日、不同意性交の疑いで逮捕されており、同29日に釈放、8月8日に不起訴処分となった後も招集外が続いていた。 今月23日のメンバー発表会見では日本サッカー協会(JFA)の山本昌邦ナショナルチームダイレクターが①相手方との話し合いが成立したこと、②本人が深く反省していること、③不起訴処分という判断が検察から下されたことで刑事事件として終了したことの3点を示し、復帰に至った理由を説明した。 日本代表の活動は6月1日からオーストラリア・パースで始まるが、佐野は活動開始を前に「自分の口から伝えないといけないと考えた」と初めて記者会見を実施。相手方のプライバシーに配慮し、事件の詳細には触れられないとしたが、冒頭で謝罪した上で「自分の行動に反省を持っている」と反省の意を示した。 事件後は現役引退の選択肢について「もちろんその考えはあった」と佐野。ただ、マインツでプレー続行の機会が与えられたことで再びサッカーに向き合う決断をしたといい、「一番大事な時期に甘さがあったと思う。ただサッカーをやるチャンスがもらえた以上、そこでやっていかないといけないと思っている」と現在の思いを明かした。 逮捕後の拘留中は「本当に自分を見つめ続け、考えて考えて見つめ続けた」日々だったといい、約10か月が経った今も「その気持ちを必ず忘れてはいけないと思っている」と佐野。「サッカーができているのは自分だけじゃなく、本当にたくさんの方が関わってくださって自分がいまこの場所に立っているので、自分のためというより、関わってくださったみなさんのためにも自分はサッカーを頑張らないといけない」と決意を口にした。 佐野は初の海外挑戦となった今季、ブンデスリーガ全34試合を含む公式戦全36試合に先発出場。ブンデスリーガ総走行距離でNo.1に輝くなど圧倒的な存在感を見せており、移籍後初の代表復帰戦でも成長した姿を見せることが期待されている。 佐野は「自分に対する賛否がもちろんあるのを知っているし、でも自分にできることを考えて、僕は日本のサッカーのために戦うしかないと思っている。プレーで行動で示していきたい」と決意を口にし、「自分がここに戻ってこられたけど、ここからのほうが大事だと思っている。実力の高い選手たちがたくさん集まっているなか、自分も存在感を高めてやっていかないといけない。何よりこのチームのためという気持ちを常に持ち続け、責任、覚悟を常に持ちながらやっていきたい」と活躍を誓った。