化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件を巡り、大川原側が東京都と国に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、1審に続いて警視庁公安部と東京地検の違法捜査を認め、都と国に賠償を命じた。原告の大川原正明社長(76)は判決後に報道陣の取材に応じ「地裁に続いてほぼ同じように逮捕と捜査の違法性について言及があった。みなさんの応援に感謝したい。まず亡くなった相嶋(静夫)さんに結果を報告したい」と述べた。 午後2時からの判決言い渡しが終わり、東京高裁前で大川原側の弁護団が「全面勝訴」と書いた紙を掲げると、支援者らから大きな拍手が湧き起こった。 事件について2人の警部補が「捏造(ねつぞう)」などと証言した1審に続き、控訴審でも別の警部補が「立件する理由はなかった」などと証言。訴訟を通じて3人の現職警察官が法廷で捜査批判をするという異例の展開をたどっていた。 大川原社長は「警察・検察には同じようなことがないように検証してもらいたい。1審より踏み込んで吟味して判決を出してもらって、安心した」と語った。【安達恒太郎】