<ボクシング:IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦12回戦>◇28日◇横浜BUNTAI 世界初挑戦の同級3位・力石政法(30=大橋)の悲願のベルト奪取はならなかった。判定で敗れた。 28勝(28KO)1敗と脅威的な破壊力を誇るエドアルド・ヌニェス(27=メキシコ)に敗れた。2階級制覇王者のIBF世界フライ級王者・矢吹正道(32=LUSH緑)との兄弟同時世界王者も果たせなかった。 巡ってきたチャンスで一発回答への意気込みが空回りした。「今回、自分が大橋ジムに移ってボクシング人生で初めて(兄弟の拠点が)別れた。正直、寂しい部分はあったし悩んだけど決めた」。世界挑戦のチャンスを求めて昨年7月に移籍。その2戦目でつかんだ世界挑戦のチャンスだった。「メンタル勝負です」と話していた力石だが、重圧に屈した。 激動の人生から世界の頂点を目指した。家庭内暴力に悩み、外で暴れ回った。兄の後を追って17歳で上京も、その前の暴力行為で逮捕され、少年院に送られた。ただ、それも仲間のためだった。兄の矢吹が「仲間のためならいくらでも体を張る」という性格。それが行きすぎた少年時代から確実に成長した。 ボクシングに関してはストイック。矢吹が「自分でもかなわない」と言うほどの練習モンスター。動画を見直して、弱点を消していく。178センチの高身長。最大の敵は減量だが、それも工夫を重ねて最上の策を編みだした。 「(スーパーフェザー級は)世界的に厳しい階級。それだけに勝ちがある。やったるわ。力入る」と試合前に話していた。世界的に高い壁。乗り越えることはできなかった。やんちゃしまくっていたからこそ、世界王者になりたかった。力石が悩んでいる少年少女に向けて届けたかったメッセージは、次のチャンスに持ち越された。 ◆力石政法(りきいし・まさのり) 本名・佐藤政法。1994年(平6)6月10日、三重県鈴鹿市生まれ。3歳からボクシングを始める。右利きで当初はオーソドックスも、途中からサウスポーにチェンジ。17年7月にプロデビュー。22年5月、東洋太平洋スーパーフェザー級王座獲得。23年1月、WBOアジアパシフィック同級王者。今年3月にはローマでWBC世界同級次期挑戦者決定戦に最終回大逆転で勝利。7月に大橋ジムへ移籍。身長178センチの左ボクサーファイター。 <ラウンドVTR> ◆1回 右構えのオーソドックススタイルのヌニェスと、左構えのサウスポースタイルの力石の一戦。開始1分半は両者けん制のパンチを繰り出しながら距離の探り合い。1分半すぎに力石の左ストレートが浅くヒット。ヌニェスの右強打は空を切る。2分すぎにヌニェスの右フックが力石のアゴに決まる。力石が左ボディーブローを返す。【日刊採点】ヌニェス10-9 ◆2回 ヌニェスがじわじわと距離をつめてプレッシャーをかける。ヌニェスが接近戦から左フックを2発決める。力石が足をつかって距離をとる。中盤はヌニェスが距離を詰めて左ボディーブローを狙う。力石はカウンター狙いで、終盤に左ショートカウンターが決まる。【日刊採点】力石10-9 ◆3回 開始からヌニェスが前に出てプレッシャーをかける。力石はサイドに回りながらカウンターを狙う。30秒すぎにヌニェスの右ボディーブローがヒット。1分すぎに力石の左ストレートが相手の打ち終わりにクリーンヒット。右アッパーも浅く決まる。ヌニェスはかまわず前に出るが、速いい力石をとらえきれず。終盤に力石の左から右パンチが決まる。【日刊採点】力石10-9 ◆4回 ヌニェスは右ジャブを突きながら前に出て、左ボディーブローを決める。ヌニェスは前に出てパンチを繰り出すが、力石が左右サイドの動きでかわす。中盤に力石の左アッパー、右フックが決まる。ヌニェスのプレッシャーが強まる。2分すぎにヌニェスの右が決まる、力士も左を返す。【日刊採点】ヌニェス10-9 ◆5回 開始からヌニェスが力石をロープにつめて強打え畳み掛ける。力石のアッパーは空振り。1分すぎにヌニェスの左ボディーブローが決まる。1分半すぎからヌニェスの強打が力石の顔面に次々とヒット。力石の足が止まる。残り30秒、力石の左ストレートがクリーンヒット。ヌニェスがフラつく。終盤は頭をつけて強打を打ち合う。【日刊採点】ヌニェス10-9 ◆6回 開始からロープ際は頭をつけて打ち合い。力石が再び足をつかってヌニェスのプレッシャーを避ける。中盤はヌニェスが手数で圧倒。1分40秒すぎに力士の右フック、右アッパーがクリーンヒットしてヌニェスの連打が止まる。終盤は互角の打ち合い。【日刊採点】力石10-9 ◆7回 ヌニェスが追い、力石が左右のサイドへ動く展開でスタート。40秒すぎにヌニェスの強打が次々とヒット。力石はガードをかためたまま耐える。中盤はヌニェの左ボディーブローが決まる。ヌニェスの上下の打ち分けが有効。力石はカウンター狙いも手数が少ない。【日刊採点】ヌニェス10-9 ◆8回 力石がしきりに右ジャブを突いて距離をとる。30秒すぎに力石の左ストレートが決まり、ヌニェスが大きくバランスを崩す。中盤、力石は再び足を使って右ジャブを突く。2分すぎにヌニェスの左右ボディーブローが決める。終盤に力石の左が再びヌニェスの顔面にヒット。【日刊採点】力石10-9 ◆9回 このラウンドも力石が右ジャブをさかんに突いて足を使う。力石の左ボディーアッパーが決まる。ヌニェスはかまわず前進して強打を振り回す。中盤はヌニェスが力石をロープにつめて連打。右フックで力石の顔面がはね上がる。終了間際にヌニェスの左右フックが力石の顔面にヒット。【日刊採点】ヌニェス10-9 ◆10回 開始早々、ヌニェスの右強打が決まり、力石がロープまで吹っ飛ぶ。ヌが一気に連打をまとめる。ガードをかためて力石は一方に。1分すぎに力石も頭をつけて打ち合う。左ボディーを返す。終盤もヌニェスの猛攻も、力石も気力でボディーブローを返す。【日刊採点】ヌニェス10-9 ◆11回 ヌニェスが強打を振るって前に出る。力石はガードをかためて距離をとる。中盤も展開はかわらず。力石はサイドに動いて必死に打ち合いを避ける。終盤はヌニェスがボディーに集中打。【日刊採点】ヌニェス10-9 ◆12回 ヌニェスが開始から強打でプレッシャーをけける。力石も右アッパーを返すが、ヌニェスも左ボディーブローを連発。1分すぎに力石の左強打がヌニェスの顔面をとらえる。ヌニェスの動きが止まるが、すぐに反撃して前に出る。終了間際にヌニェスの右フックで力石がバランスを崩す。【日刊視点】ヌニェス10-9