学生時代の逮捕を伝える投稿をX(旧ツイッター)上に残し続けることは更生を妨げ、違法だ――。関西地方の30代男性がそう訴えた裁判で、大阪地裁(西岡繁靖裁判長)は24日、X社に投稿の削除を命じた。「時間が経過して投稿の役割が失われ、公表されない法的利益が優越する」と判断した。 前科・前歴など公表されたくない情報の削除を求める権利は「忘れられる権利」と呼ばれる。最高裁は2017年、グーグルの検索結果をめぐる訴訟で権利保護の必要性が検索の意義を「明らかに優越する」ときのみ削除を認めた。旧ツイッターの投稿については22年、単に「優越する」だけで削除可能とした。 判決によると、男性は大学時代に未成年者略取・誘拐の疑いで逮捕され、法定刑がより軽い迷惑防止条例違反(ひわいな行為)の罪で罰金刑となったが、X上には「連れ去り」での逮捕を実名で記した投稿が残る。