フランスの裁判所は28日、元外科医のジョエル・ルスクアールネック被告に対し、麻酔下にあった子どもら数百人の患者に対する性的虐待の罪で有罪判決を言い渡した。被告には法定上限である懲役20年の刑が科された。 被告による患者への一連の虐待は、フランスの裁判所で取り扱われた小児性愛裁判としては最悪の事例とされている。74歳の被告は、299人の被害者に対する加重強姦または性的暴行の罪に問われていた。 被告は、西フランスで25年間医師として勤務していた間に「卑劣な行為」に及んだと法廷で認めた。裁判官は、感情を抑えきれず声を詰まらせる場面もありながら、被告が最も無防備な状態にある被害者を狙っていたと指摘した。 公判で被告は、自らが与えた被害は回復不可能なものだと認識していると述べた。裁判官は、被害者が終身刑を望んでいることに理解を示しつつも、現行法ではそれを科すことはできないと説明した。 ルスクアールネック被告は、すでに過去の有罪判決により服役中。2020年には近隣の少女、2人の姪、そして4歳の患者に対する強姦および性的暴行の罪で懲役15年の判決を受けている。さらに2005年、性的虐待される児童の画像をダウンロードしたとして有罪判決を受け、執行猶予付きの禁錮刑を言い渡された。 それにもかかわらず、被告は公立病院での勤務を続けていた。裁判所は、被告を性犯罪者登録簿に登録するよう命じ、加えて医療行為に携わることや未成年者との接触を禁じた。 ルスコアルネック被告による虐待の深刻さが明らかになったのは、2017年に6歳の隣人少女への強姦容疑で再逮捕された後のことであった。警察は、被告の電子的な日記を押収。患者に対する20年以上にわたる暴行の詳細が記されたとみられている。あわせて性的人形やかつら、児童ポルノのコレクションも押収された。 地元検察は、この虐待を未然に防ぐことができた可能性のある機関や個人に刑事責任がなかったかどうかを調査するため、別個の捜査を開始した。