フロリダ州で5月26日早朝、42歳の男性がワニにかまれたとみられる事件の直後、警察官に射殺された。ポーク郡のグレイディ・ジャッド保安官が記者会見で明らかにした。 この男性、ティモシー・シュルツは、園芸用の大ばさみを手に警官に近づいたため射殺された。警察には彼について複数の911通報が寄せられており、その中には「ワニに囲まれた湖の中にいて、助けようとした人に唸り声をあげた」という証言もあった。 「右腕にはワニにかまれた痕があるようだ」とジャッド保安官は語った。「つまり、湖の中でワニに襲われたらしい」 さらに「ワニにかまれたにもかかわらず、暴走を続けたというのは衝撃的だ」と述べた。 シュルツは今年4月に逮捕され、事件のわずか1週間前に釈放されたばかりだった。ジャッド保安官によれば、彼にはメタンフェタミン(覚醒剤)に関する逮捕歴が少なくとも5回あり、今回の事件時にも薬物の影響下にあった可能性が高いという。 事件当日の午前6時前、ガソリンスタンドからの通報で「震えながら息子に電話をかけたいと訴える男性がいる」との情報が寄せられた。保安官代理らは数分で現場に到着したが、40分の捜索でもシュルツは見つからなかった。 ところが捜索終了直後、今度は「ワニに囲まれた湖で泳いでいる男性がいる」という通報が相次いだ。通報者の中には、命綱を投げて助けようとしたが、男性が唸り声をあげるだけだったと証言する者もいた。 ジャッド保安官は「彼の行動は正直、常軌を逸していた」と話す。 現場に到着した保安官代理らによれば、シュルツはまずレンガで車に侵入しようとし、その後近くの芝生で拾った園芸用はさみを手に警官に向かってきたという。この時、現場には研修中の警官も含まれていた。 保安官らは状況の鎮静化を図り、テーザー銃も2回使用したが、シュルツはパトカーの助手席に乗り込み、車内の銃を奪おうとした。 この時点で「行動開始が必要だった」とジャッド保安官は述べている。 複数の保安官が発砲し、シュルツは死亡した。 ジャッド保安官は「これは警官に撃たれて死ぬことを望んでいたのか、それとも薬物で正気を失っていたのか分からない。だが彼は2人の保安官をまったく恐れていなかった。言うことも一切聞かなかった」と語った。 「テーザーを受けた後でも逃走を続けた。ある目撃者は『なぜもっと早く撃たなかったのか分からない』と話していた」 ジャッド保安官は会見で以下のように発言した: 「我々の保安官に銃や園芸ばさみを向けることは許さない。パトカーに侵入し、ライフルを奪おうとする行為も、保安官への重罪的な暴力も許されない。そうした場合、我々は撃つ。二度と同じことをしたいと思わないように、あるいは二度とできないように撃つ」 関与した保安官らは、通常の手続きに従い、初期調査が終わるまで行政休職の扱いとなる。調査完了後に復職する予定だとジャッド保安官は述べている。